LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.107

四ツ谷 SOUND CREEK Doppo

SOUND CREEK Doppoについて
2012年5月、JR・地下鉄四ツ谷駅から徒歩3分、新宿通りから一本入った裏通りにオープンしたグランドピアノ常設ライブバー。ミュージシャンがのびのびと演奏できる環境、生楽器や歌声がもつバイブレーションをリラックスして楽しめる50席のシーティングスペース。こだわりの音空間を創るオーナーの川崎裕之氏は20歳でゴダイゴのミッキー吉野氏プロデュースでインディーズデビュー以来セッションワークやゴダイゴの代役ドラマー、浅野孝已氏とのプロジェクトなどで活動するプロドラマー。
SOUND CREEK Doppoへのお問い合わせ
SOUND CREEK Doppo公式サイト
新宿区四谷三栄町1-1CSビルB1
TEL:03-6380-4245
出演バンド・ブッキング受付中

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 SOUND CREEK Doppo 編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

サウンドクリークドッポ代表 川崎裕之氏

本日は四ツ谷SOUND CREEK Doppo(サウンドクリークドッポ)代表の川崎裕之さんにお話をお伺いします。まずはライブハウスをオープンした経緯をおしえてください。

Doppoのオープン前から別のライブハウス運営に携わっていましたが、その店は震災(2011年)の年にクローズしてしまい、とても個人的ではありますが自分自身の先のこと、どうやって音楽に関わって生きていくかを考え「自分でお店をオープンしよう!」という結論を出しました。開業は2012年5月28日です。

では、お店の特徴についておしえてください。ステージのグランドピアノが存在感を放っていますね。

前のお店にもグランドピアノがあり、ピアノでつながったミュージシャンたちの期待に応えたかったので、Doppoのコンセプトづくりからグランドピアノの常設は前提でした。なにより僕自身、生楽器が好きですし、僕の妻もピアノ伴奏で歌う歌い手なんですよ。

ということはDoppoのジャンルとしてはアコースティック寄りですか?

いいえ、特にそういうわけではなくピアノなしのバンド仕様にもなりますし、ドラムセットやアンプを片付けてピアノだけのステージも作れます。むしろピアノと一緒だからといって変に「遠慮したドラムプレイ」は避けてもらいたい(笑)。

たしかにピアノがあるステージでは、ドラムが小さくなりがちです。

僕自身バンドマンなので、それは嫌なんです。基本オールジャンル、おとといもニューオリンズファンクのバンドが出演してくれました。バンドにおける生ピアノの良さも、そういう遠慮のない演奏のなかでこそ際立ちますし、良い雰囲気が生まれます。もちろんアンサンブルを無視した自分勝手な音量は論外です。

ドラムの生音に負けないピアノやバンドサウンドも期待したいということですね。

はい、バンド本来の生音を重視です。もちろん必要に応じてPAで増幅する音もありますが本質はPAの力ではなくて楽器演奏でバランスを取る方針です。

ミュージシャンの奏でた音をピュアなまま聴いてほしい

基本的なライブハウスの音作りは各楽器やアンプの音をPAで調整しています。

そういう意味では、一般のお客さんは、音源やマイクで拾ってスピーカーから鳴る音に慣れてしまっていて、ドラムの「生音」を聴いたことがある人は少ないのかもしれない。大きな会場では当然そうなりますが、せっかく生音が届く規模なのだから、うちは生の音が聴ける箱でありたいわけです。

PAに頼らずに生音重視となると、演奏者にそれなりの技術が求められそうです。

演奏はもちろん、エレキ楽器のアンプ音量も、それぞれが全体の音を考慮して、最適なつまみを設定できるようなアンサンブル力を追求してもらいたいですし、箱もそういう環境づくりに努めて、ともにいい音を作っていきたいですね。

なるほど、Doppoのコンセプトが見えてきました。

店名の「SOUND CREEK」は「音の泉」であるミュージシャンの奏でた音をピュアなまま、いちばん近くで聴いてもらう場所、その「音の源(みなもと)」、「音の湧き出るスポット」、それこそがサウンドクリーク(SOUND CREEK)なんです。

ミュージシャンとしても大いに共感する理念だと思います。サウンドのこだわりのポイントがありそうですね。

ライブハウスはひと昔前の「暗い、臭い、汚い、怖い」という時代から世代が一回りしました。いまは、学生時代や若い頃にバンドをやっていた人、例えば還暦を過ぎてまた集まって盛り上がろうよ、という音楽好きの方がたくさんいます。世代を越えていっしょに楽しめる場所です。

ご年配の方がライブハウスを楽しめるのは素晴らしいと思います。

とはいえ、さすがに立ちっぱなしで長時間爆音を浴びるのはキツイですよね。そもそも体に良くない(苦笑)。そういうのが好きな人は、そういう所に行っていただくとして、うちは客席を設け、とくにPAを通じて過剰に爆音を鳴らすようなことはしません。何歳になっても音楽を続ける、楽しむためにはライブハウスとはいえ、それなりの快適さは絶対に必要です。

そのあたりは、まさに時代が変わって今の若者にも支持されるポイントかもしれませんね。

そう思います。若い方の自主企画イベントや大学のサークルもやっていますし、小さな箱ですが収納スペースや楽屋もあり、意外とフレキシブルに対応できます。幅広い層に使っていただいています

音楽を通じて出会った方とつながっていける場所

川崎さんはプロドラマーとしても活動されてきました。ライブハウス運営に携わるようになったのはなぜですか?

ドラムだけで生きていければいいのでしょうが…、現実的にドラムの演奏だけで生涯生活をしていくのは難しい世界です。実際、ドラマーとして演奏だけでやっていける人はひと握りですよね。

はい、そもそも音楽だけで生活していくのも難しいのに、ドラムの演奏だけというのは…。

ドラマーって、自分ひとりだけでステージに立つことは稀で、多くの人々と関わっていくパートです。そこが演奏家として自立した活動が難しい反面、音楽を通じてつながりができるポジションでもあります。そうやって、つながった多くの方と、永続的な関係を築いていける、自分の場所を持ちたいと思いました。

それではさかのぼって、川崎さんのご出身と音楽の出会いをおしえてください。

埼玉県草加市の出身です。中1の頃にはディープパープルとかレッドツェッペリンを聴いていたかな。

そのあたりのハードロックというと年齢的には少し早いですよね。

バンドをやっていた2つ上の兄の影響です。兄のバンドのドラマーが、僕が入っていたサッカー部の先輩で、なぜかその先輩のドラムがうちにセットされていて、それで自然と自分もドラムをやりはじめました。最終的にそのドラムセットを買い取ることに(笑)。

偶然にも自宅でドラムに触れられる環境があったと?

はい。中学時代はバンドを組めるような仲間がいなくて1人で練習していました。本格的にバンド活動をはじめたのは高校に入ってからで、都内のライブハウスにも出演するようになりました。兄のおかげで、年上とばかり活動していたのでレベルがひとつ上の人たちと交流する環境には恵まれていたと思います。

そこからプロドラマーの活動へと至る経緯を聞かせてください。

20歳のときに当時活動していたバンドがミッキー吉野さんのプロデュースで、インディーズレーベルからアルバム(LPレコード)をリリースしました。その頃から業界にいろいろな接点ができて、イカ天(いかすバンド天国)にも出ましたし、プロにつながりそうなものは片っ端からやってみたのですが、メジャーまでは行けずに…。

ミッキー吉野さん、浅野孝已さん、ゴダイゴとの縁に感謝

でも国民的な人気バンド、ゴダイゴのミッキー吉野さんのプロデュース作品はひとつの財産ですよね。

そう思います。結局バンドではプロになれませんでしたが、ほんの一瞬ですが個人でニューヨークに行ってドラムを教えてもらう機会を得て世界の空気に触れ、帰国後ある制作会社のディレクターから話をもらって24歳でプロとしてのキャリアをスタートしました。25歳までに何のきっかけもつかめなかったら、あきらめて一旦就職しようかなとも考えていましたので、まさに最後のタイミングでした。その後、ギタリストの浅野孝已さんとの活動を継続させていただき、やはりゴダイゴとの縁によって一目置かれることは多いので本当に感謝しております。

プロドラマーとしてどのようなお仕事からキャリアをスタートされたのですか?

とあるミュージシャンのバックバンドから始まりました。レコーディングは技術的にもキャリアを積まないと任せてもらえないので、最初はデビューしてまもない新人のサポートでした。当時はまだ少しバブルの名残があって、箱バンやパーティーバンドの仕事も多く、経験を積むことができました。

当時は音楽業界も右肩上がりでしたからね。それに比べると、いまは厳しい…。

まあ、悲観的な見方もありますが、どの業種もそのマーケットのなかで競い合って、切磋琢磨しながら生き延びるしかないですね。

CDでは聞こえないバイブレーションを見つけてほしい

ドラマーの活動と並行して、ライブハウス運営に関わるようになったのはいつ頃ですか?

30代半ば頃です。ライブハウスを立ち上げた知人から出演者を紹介してほしいと相談されたのがきっかけで、自分自身もライブハウスの企画、運営に参加して、アーティストやバンドのブッキングもやるようになりました。すると、これがどんどんおもしろくなってきて。結局自分でライブハウスを持つに至りました。

ドラマーの川崎さんとして、ライブハウス経営者となってからドラムへの向き合い方に変化はありましたか?

ドラマーとして「ビッグになってやる」というモチベーションは、「一生続けるもの」に形を変えて、それが目標にもなっています。ミュージシャンのなかでもドラムはDTMの発達とともに演奏仕事が早い段階で少なくなってきて、現実問題として業種転換(笑)、経営者体質になる人も多いのではないでしょうか。

そうかもしれませんね。なにごとも基礎、土台づくりが大切です。それでは最後にメッセージをおねがいします。

ライブハウスは素晴らしい音楽がある場所です。テレビやラジオ、マスメディアにのっていなくても、多種多様のものすごい音楽、パフォーマーが実はたくさん存在しています。音楽は演奏するのも聴くのも個人の自由、主観的に「好きなものは好き」で良いと思います。CDや配信だけでは聞こえてこないバイブレーション、発見が必ずあります。自分の目で、足で、それを見つけてください。一度知ってしまったらきっと通わざるを得ないでしょう(笑)。

ライブハウスでしか味わえない生音の魅力をSOUND CREEK Doppoで発見していただきたいです。本日は貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2019年10月)

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四ツ谷(新宿区)
四ツ谷(新宿区)
JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線・南北線が乗り入れる。地名やバス停、公的機関の表記は「四谷」、電車の駅名のみ『ツ』が入った「四ツ谷」を用いている。新宿区と千代田区の区境にあり、四ツ谷口、麹町口、新宿通りをはさんで赤坂口がある。駅スタンプ絵柄は迎賓館、聖イグナチオ教会、四谷見附橋。
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