イベント会場の魅力探索ガイド Vol.4

東急 シアターオーブ

東急シアターオーブ

東急シアターオーブは渋谷ヒカリエ11Fに2012年オープンした、1,972人収容のミュージカルを中心とした大型エンターテインメント劇場で、ブロードウェイ、ディズニーなど海外招聘の人気公演が連日楽しめる。

「五島プラネタリウム」へのオマージュの天球

昭和31年頃にたてられた東急文化会館最上階にあった「天文博物館五島プラネタリウム」(2003年解体)を語り継ぐべく、渋谷を代表する巨大複合施設ヒカリエの中に球体のシアターを模するイメージで設計されている。名称である「Orb(オーブ)」とは天球、このプラネタリウムの天球を意味し、最先端の文化を発信、提供しようとする想いが込められている。なお「天球」の一部分はヒカリエ11Fのエントランス広場からも観ることができる。

客席入り口のアート作品(写真)は、東急文化会館にあった大型映画館「渋谷パンテオン」で使われていた緞帳を5分の1サイズにしたレプリカである。いまや日本を代表とする街となった渋谷だが、当時(昭和30年代〜)は未開拓の地。銀座にいかなくても、映画や買い物が楽しめる、良質な文化を発信するコンセプトは今も変わらず受け継がれている。

渋谷駅前の非日常空間「宙空のミュージカル劇場」

日本国内でも地面から高いところに作られた劇場で、空に浮かぶ劇場をイメージした内装が施されている。壁面は空の青、バルコニーは雲の白、天井にも浮雲のデザインを配して、空中への浮遊感を演出している。

壁面の色は鮮やかな空色のブルーから舞台に近い所へむけて濃紺にグラデーションがかかっている(写真)。舞台を中心に傾斜とともに集中していくデザインで、繰り広げられるショーへのテンションが上がる。

見やすい、聴きやすい、演じやすい、三拍子そろった劇空間

舞台から座席最終列まで約29m。1,972席規模としては、客席から舞台までの距離がとても近く(2,150席のオーチャードホールは39m)、演者の表情まで観ることができる。また、客席は椅子を交互に配した千鳥配列で、前後幅も95cmと十分なスペース。列中央部の座席へもストレスなく移動でき、快適に観劇が楽しめそうだ。

音響面はミュージカルでの利用をメインに想定した設計で、拡散壁やバルコニーの形状で豊かな反響も保ちつつ、歌の歌詞やセリフの聞き取りやすさを追求しており、残響時間は1.6秒前後と短めになっている(クラッシック用のコンサートホールで1.8秒〜2秒程度)。

舞台の設計はアメリカを中心に海外から招聘したカンパニーが持ち込むツアー公演の舞台セットに対応できるよう、ミュージカルの演出にあわせて自由に設計・構築できるように作られている。日本に多くある文化会館では多目的ホールとして設計されているため、舞台の設営に制限がある場合が多い。オーブにおける海外人気ミュージカル上演の実現は、このミュージカル専用設計によるものだ。

行こうぜ!渋谷ヒカリエ&シアターオーブ

シアターオーブがある「渋谷駅ヒカリエ」は2012年に完成した地下4階、地上34階の巨大ビル。B3Fから5Fに200のショップが並ぶショッピングエリア、6F・7Fはカフェ&レストラン、9F以降にシアター、イベントスペースからなる。2016年現在は、ホテルやビジネスビル以外に高層ビルは少ないので、シアターオーブのある11Fのロビースペースは渋谷の街並みを見下ろせる絶好のビューポイントだ。

※このページはライブウォーカーによる企画・取材・編集コンテンツです。当サイトはシアターオーブおよび東急、ヒカリエ等とは関係ありません。
MUSIC-MDATA編集部 (取材日:2016年5月)

所在地:渋谷区渋谷2-21-1 / 渋谷駅からのアクセス駐車場ファミレスコンビニホテル

魅力探索ガイド一覧(バックナンバー)

シアターオーブ紹介
シアターオーブについて旧東急文化会館時代にさかのぼり、詳しく説明。参加者は約30名ほどで、巨大なシアター空間を独占。普段の上演時では決して入ることのできない舞台の奥までみせてくれる。
ステージ・舞台見学
広い舞台に上がってステージ上を見学。舞台天井の吊り物(バトン)の上下の実演、12mの高さにあるブリッジからスタッフが照明の実演をしてくれる。
“奈落”の入り口を開く
舞台床の仕掛けについて説明。舞台前側部分はすべて客席床まで約3m下ろすことが出来る。舞台床は畳一枚分の大きさで取り外すことができ、その実演が行われる。
大型エレベーターで下へ
 
舞台セットや音響機器運搬用の巨大エレベーターで舞台(13階)から11階に降りる。大型トラック荷物1台分、約10トンまで積み込み可能。ツアー参加者全員がのっても楽々。
舞台床下を見学
 
リハーサルルームなどを見学したあと、ステージの床下に移動。“奈落”を下から覗く。2段式のステージやオーケストラピットにも使われる舞台最前部を客席床まで下ろす装置を実演。
稼働床で舞台へ
 
客席床下から稼働ステージに参加者全員が、『ツァラトゥストラはかく語りき』のテーマとともにスポットライトを浴びながら舞台にのって戻る。
舞台天井を見学
ヘルメットをかぶって舞台天井部分、照明ブリッジに乗り込むための渡り橋などを見学。バトンをモーターで上下させる装置を実演。
参加者へのアドバイス
バックステージツアーの開催は公式サイトで発表されるのでチェック。毎年GWシーズンに開催される。所要時間は約1時間10分。約40分は、歩きまわって階段の登り降りもあるので運動不足の人は少し注意。客席においた手荷物はスタッフがみはっていてくれるので大きな荷物も安心。ヘルメットをかぶるので凝った髪型に気をつけよう。