LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.40

新高円寺 Kanademia

新高円寺カナデミアについて

新高円寺(杉並区梅里)五日市街道沿いに2013年9月オープン。店名のKanademia(カナデミア)は、21世紀のオンガクのメソポタミア=発祥発信地「奏での郷」をイメージして名づけられた造語で、月あかりに照らされた小さなステージから音楽と映像の世界に羽ばたく次世代のアーティストを応援するべく立ち上げられた才能発掘・育成型ライブハウス。充実した映像設備を駆使したライブ演出や作品の上映、動画配信にも力を入れる。

新高円寺カナデミアへのお問い合わせ
新高円寺カナデミア 公式サイト
杉並区梅里1−7−21 15 ビルB1
TELL: 03-5913-9903
幅広い音楽ジャンルで出演者募集中(詳細

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 新高円寺カナデミア編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

新高円寺カナデミア 店長・総合プロデューサー 中村水青氏

本日は新高円寺Kanademia店長の中村さんにお話をお伺いします。ライブハウスの街、高円寺では新しいお店となりますが、オープンはいつになりますか?

2013年9月設立なので、今年でようやく3年ですね。この辺ではまさに新参のライブハウスです。

Kanademiaオープンに至る経緯から教えてください。

10年くらい前まで、某レコード会社で作家さんの曲を選曲したり、制作の仕事をしたりしていました。その後、自分でMillion-Loversというレーベルを立ち上げてアーティストの音源制作やディストリビューション、所属アーティストたちを売り込むため、ライブハウス出演のブッキングやイベントの企画をしていました。

音楽業界に携わっていたのですね。ここ10年となりますと、音楽業界の状況的にレーベル運営もハードだったと思いますが。

そうですね、イベントもたくさん行いましたが、都内でのイベント企画は(費用が)高いし、時代がネット配信や動画が主流になってCDも売れなくなり…、制作ビジネスは成り立たなくなってきました。そんな時、友人と2人で会社を作り、Kanademiaを始めることにしました。

ライブハウスをやるなら高円寺がいいと思った

高円寺を選んだのは理由があったのですか?ライブハウス激戦区で競争相手も多いエリアですが…

やはり音楽好きな人が集まる街そしてサブカルチャーが今も生まれている街なので、ライブハウスをやるなら高円寺がいいかなって思ってたんですよ。老舗が多く、競争は熾烈ですが、そのあたりは、差別化するため色々企画を考えてきています。

高円寺は流行に左右されないコアな音楽ファンが多いですからね。

それはありますね。実は、下北沢も候補に上げていたのですが、物件を探して歩き回っていたら、この物件をみつけて、家賃も安かったので、ここ(高円寺)に決めました。

Kanademiaオープンからちょうど3年経ちましたが運営状況はどうでしょう?

初年度は自分たちで企画を立てないと回せませんでしたが、最近はイベンターさんも入ってくるようになり活発になってきて、土日は埋まるようになりました。平日も安定稼働している…、とまでは言い難いですが少しずつ入ってくるようになりました。

率直な実情をありがとうございます。大型スクリーンでの映画上映もできるとのことですが?

レーベル運営時代から映像をやっている仲間がいて、喫茶店に小さなスクリーンを持ち込んでインディーズ映画を上映している、という話を聞いていました。それだったら、せっかくなら大きなスクリーンの方がいいだろうと思い、120インチの可動型スクリーンと高解像度プロジェクターを設置して映画上映もできるようにしました。

映画をはじめ、(バンド演奏の)ライブ以外のことも

映画を自主製作しても上映場所があまりないと聞いたことがあるので、ライブハウスで上映できるのは嬉しいですね。

そうなんですよね。映画をはじめ、(バンド演奏の)ライブ以外のこともやるようにしています。最近はプロジェクションマッピングを使ったアーティストや映像とコラボレーションしたパフォーマンスライブも出てきました。

可能性が広がりますね。南阿佐ヶ谷のライブハウス「あさがやドラム」との共同イベントについて教えて下さい。

あさがやドラムの店長とは20年来の友人で「コラボックス」という共同のイベント企画をしたり、お互い出演者さん達を紹介し合ったり、パンフレット作成など一緒にやったりしています。共同、というより、協力関係に近いかもしれませんね。もちろんお互いの企画があまりバッティングしないようにしています。まあ、彼のところは、アイドル主体なので、あまりかぶることもありませんが。

あさがやドラムは歴史あるライブハウスだったと思うのですが、アイドル専門のハコでしたっけ?

店長が途中で変わったからですね。彼は、元々アイドル系事務所のマネージャーをやっていたんです。昔以前のハコはバンドなんかも出演していたようですけど、今の店長に変わってからはアイドル路線になっていますが、最近はアカペラ企画も始め、色々とチャレンジしています。

アカペラグループは最近増えていると聞きますね。

そうですね、Kanademiaでもアカペラのイベントを時々やっています。大学生のアカペラサークルが最近盛り上がってきています。「ハモネプ」(2001年の人気テレビ番組)とまではいかないかもしれませんが、再ブームが起こりつつありますね。

Kanademiaでアイドルのライブをやることもあるのですか? キャパ的にファンにはたまらないのでは(笑)?

アイドルイベントやアニソンイベントもやりますよ。キャパは小ぶりなんですけど、ファンにとってはそこが嬉しいのかもしれません(笑)。

それでは続いて、中村さんと音楽の出会いについて教えて下さい。

音楽をちゃんと聞きだしたのはビートルズですね。僕がビートルズを好きになった時は、もう解散していたんですけどね。

演奏活動などはされていたのでしょうか?

子供のころクラシックギターを習っていて高校大学とずっとバンドをやっていました。メタル系バンドでギターをやっていました。

ビートルズではなくて(笑)?

たまたま周りがそういう連中ばっかりだったから、致し方ない流れというか…、本当はビートルズやりたかったんですけどね(苦笑)。

当時のヘビメタとなるとBlack Sabbathあたりですか?

そうですね、Black Sabbathもそうだし、Deep PurpleGrand Funk Railroadなんかの、クラシカルなHMをやっていました。

大学時代、音源をレコード会社に直接売り込んだ

音楽業界にはどのようにして入っていったのですか?

バンドをやっている時から曲を書いて、大学時代からDTM等で制作した音源をレコード会社やレーベルに直接売り込みに行っていました。

当時、多くの作曲家が通った「持込み」というやつですね。

はい、昔当時はメールで音源送るなんて出来なかったので、自分で作った音源を色々なレコード会社に持って行って、それがきっかけでディレクターから「曲書いてみない?」と、声をかけられるようになりました。アレンジも出来たので、「じゃあアレンジも手伝って」と言われて、いつのまにかレコード会社の制作部にいました(笑)。

就職活動しないでレコード会社に入社が決まるなんて羨ましい話ですね。

ちょうど、就職活動をはじめる大学4年生でしたね。飲みに連れて行かれ、飲みの席で「このまま制作部にいてよ」って流れで…(笑)。当時、そういう人は多かったです。アーティスト活動をしながら社員やっている人もいたし、型破りで才能ある人がたくさんいましたね。

それでは最後に、Kanademiaからのメッセージをお願いします。

カナデミアは、次世代のアーティストを応援すべく様々な面からアプローチして設計して造りました。音響機材は新しくて当たり前ですが、もう1つステージのビジュアル的な要素を、より美しく見せられるように、ライブの演奏動画をYouTube等にアップする時代を想定して、また店の内装は「黒」にこだわって作りました。プロモーションビデオ作りにも適してるので、ビジュアル戦略として使って頂いても嬉しいです。

黒を基調にすることでアーティストの表現に自由度が増しますね。

そうですね。動画投稿サイトをみた人から「ここ(のライブハウス)はどこですか?」とコメントが寄せられたりすることもあります。中には「マカダミアナッツ?」と店名を間違えられたこともありますが(苦笑)。でも、なんだかんだ、おかげさまで最近は知名度が出てきたと実感しています。

本日は貴重なお話をありがとうございました。これからも映像・ビジュアル面にもアイデア満載のKanademiaに期待しています。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2016年7月)

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新高円寺駅(杉並区)
新高円寺駅(杉並区)
高円寺南2丁目にある地下鉄丸ノ内線の駅。「青梅街道」直下にホームがあり、2番出口を出てマクドナルド横から北に「ルック商店街」、その先にアーケードの「パル商店街」と続き、中央線・高円寺駅南口へと至る。また1番出口すぐの交差点は多摩エリアを通る都道7号「五日市街道」の起点となっている。
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