LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.49

渋谷 GUILTY

渋谷ギルティ
渋谷GUILTYについて
1992年に恵比寿でオープン。2006年6月に現在地の渋谷道玄坂へ移転。最大キャパ約250人。このキャパのライブハウスとしては都内随一のステージ間口の広さ、高さ約4メートルの天井に洗練されたデザインの内装やフロアー、高性能な音響、照明システムなど、ホールを意識した設備をそろえた渋谷を代表するハコ。店長本田氏はじめスタッフとバンド、出演者との信頼関係を大切にする姿勢がモットー。インディーズバンドからプロ、社会人バンドや学生バンド、アコースティックからメタル、ギターロック、ポップスまで幅広いジャンルと層のバンドの演奏が繰り広げられるステージには、東京のライブシーンが凝縮されている。
渋谷GUILTYへのお問い合わせ
LIVE STAGE GUILTY公式サイト
渋谷区道玄坂1-17-6 プロスペクト渋谷道玄坂B1F
TEL:03-3770-1130
出演バンド・ブッキング受付中(詳細
GUILTY

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 渋谷GUILTY編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

渋谷GUILTY店長 本田匠氏

本日は渋谷GUILTY(ギルティ)店長の本田さんにお話をお伺いします。GUILTYは歴史あるライブハウスですがお店のオープンはいつですか?

1992年に恵比寿でオープンして、10年前の2006年に渋谷のこの場所に引っ越して来ました。GUILTYとしては来年が25周年です。といっても、僕自身はオープン時からいるわけではないのですが。

渋谷に移転した理由というのは?

恵比寿時代は渋谷駅と恵比寿駅の中間というロケーション(渋谷区東3丁目)だったので、(GUILTYの)社長がもっと駅に近い良い場所を探していたところ、この場所を見つけて、ライブハウスとしてさらなるスケールアップに向けて、渋谷の道玄坂に移ってきました。

本田さんはいつ頃からGUILTYに入ったのですか?

僕は渋谷に移転する3カ月くらい前ですね。もともとはバンドマンとしてGUILTYに出演していました。

最近GUILTYに出演しているバンドの主なジャンルや特徴はどのような感じですか?

ジャンルはオールジャンルですね。傾向としては、世間的にも流行っているギターロックは増えています。最近は女性ボーカルバンドも増えましたね。

やはり女性ボーカルやバンドは増えているのですね。

はい。僕が入った頃は、ガールズイベントって、あまり意識して組んでいなかったのですが、最近は増えましたね。

女性ボーカルやバンド限定のイベントであればファンやお客さんも集まりやすそうですね。

お客さんの事を考えるとガールズイベントの方がいいのかな…、と思いつつ、逆に男性バンドとぶつけて欲しい、というバンドも増えてきていて、「かわいいだけのイメージで見られたくない」という硬派な意識が少し強まっている感はあります。

女性ボーカルといえば、JUDY AND MARYなどが出演していたのは有名ですね。

そうですね。そんな経緯もあって、トリビュートイベントが毎年のように行われています。恩田さん(JUDY AND MARYのベーシスト恩田快人氏)からコメントが届いたりしますよ。あとは、川嶋あいさんが初めてライブハウスでやった会場だったりします。

ところで、渋谷、とくに道玄坂周辺はライブハウスがものすごく多いですよね。最激戦区エリアといってよいかもしれません。

ライブバーやクラブなんかも入れると、渋谷駅の半径1キロ圏内に25、6軒の店舗があると聞きました。

うちの箱からスターを出さなきゃいけないと思っている

居酒屋並みですね。そんな中で、GUILTYとして差別化しているポイントや今後の戦略、ビジョンを教えてください。

やはり、うちの箱からスターを出さなきゃいけないと思っています。

過去にJUDY AND MARYなど、のちに大ブレイクするバンドが出ていますよね?

JUDY AND MARYさんは箱が輩出した…、とは言い難いです。そもそも自分は聴いていた世代ですし…。そう考えると、自分が店長をやっている事の重大さをあらためて痛感します。渋谷に移転してからは「空想委員会」の活躍が記憶に新しいところですが、彼らも箱が育てた訳ではないですから。でも、ライブハウスは、バンドやアーティストが育つ場所というスタンスは常に大事だと思っています。

ライブハウスがバンドを育てていく…、理想ではありますがなかなか難しそうですね。双方の関係が希薄なハコも多いですからね。

そうですね、ブッキングしてあとは精算だけの関係…、いまだにそういうライブハウスもあるっていう話は聞きます。バンドさん達と、誘う、誘われるだけの関係、それだけだと、なんか寂しいんですよ(笑)。何回も出ているバンドから「お誘いありがとうございます」って返ってくると、「まだ、それぐらいの関係なのか…」って(笑)。

同じように寂しいと感じているバンドもいると思いますよ。

そうかもしれないですね。精算の時には「今日はどうだった?」って聞きながら進めて行きます。お金のやり取りだけで終わったら寂しいですからね。

もっと「自分が主役」っていう意識を強く持って欲しい

バンドとの距離を縮めるところからですね。

イベントを組む時、話を振ったバンドからは「対バンどうなっています?」って聞かれることが多いんです。もちろん、イベントを吟味する事自体は大事ですけど。最近ライブで「GUILTYさん、呼んでくれてありがとうございます」っていうようなMCをするバンドが多くなってしまっている。それはあまりに受動的過ぎるように感じていて、もっと「自分が主役」っていう意識を強く持って欲しいと思います。イベントに乗っかるだけじゃなくて。でも、それもこれも箱とバンドの信頼関係があってこそですからね。

信頼関係を深めることが、バンドやアーティストを育てることにつながるわけですね。

はい。バンドの育成は、今後ライブハウスが生き残っていくために必要な要素だと思います。今は「あのバンドが育ったハコ!」というのが、ライブハウスとして1番ステイタスじゃないですか。むしろそれがないと、どんなに設備が優れていても、どれだけ歴史があっても、あんまり響かないです。

しかしこのご時世、信頼関係を築いていくのは容易なことではないですよね…。

日頃の小さなことの積み重ねですが、僕はバンドの打ち上げにも出るようにしています。出演バンドからも「こんなに打ち上げに来る人は珍しい!」って言われていますよ(笑)。僕が仲の良い箱の人は結構、打ち上げに来ている印象なんですけど…、意外に多くないのかなと。

GUILTYをライブ後の打ち上げ会場として利用することもあるのですか?

ない事はないですが、あまりないですね。箱打ちをやるところも多いですが、箱打ちをやると自分が飲めないからイヤなんです(笑)。

たまに飲んでいるライブハウスのスタッフさんもいます、駄目ですかね(笑)?

僕としては、そこの境界線は緩くしたくないんです。店の中もきれいに保っていたいし、ここ(GUILTY)にいる時は仕事の現場でありたい。でも、誘われたら100%行きますよ(笑)

では次に、本田さんと音楽の出会いから、GUILTYに入るまでの経緯を教えてください。出身はどちらですか?

生まれは大分県ですが、育ちはずっと東京です。小学校時代に吹奏楽でトランペットをやっていましたが、音楽との出会いとしては中学の時にラジオで聴いたB’zですね。「かっこいい!」って思って、家にあった母親のクラシックギターで始めました。

中学からバンド活動をはじめたんですか?

中学時代はまだ形だけですが、近所の児童館の一室でジャカジャカ鳴らしてました(笑)。当時は、それこそハイスタなどが出てきた時期で、同級生は、わりとメロコア路線が多くて、一緒にやれる人がいなかったんです (笑)。

高校でもバンド活動を?

はい、バンドはずっとやってましたね。学園祭でLUNA SEAなどのコピーバンドをやりつつ、オリジナル曲のバンドもやっていました。

LUNA SEAのコピーとなるとかなり演奏が難しいですね。

当時は弾けた気でいたんですけど、最近になって、こんなにも難しかったんだと痛感しました(笑)。

高校卒業後の進路は?

バンド活動を続けながら大学に進学して、卒業後も、居酒屋でフリーターをしながらバンドをやっていました。それで、高校の時から使っていたスタジオが千歳烏山にあって。そこがGUILTYでイベントをやっていたんです。18歳くらいの頃だったかな? それで初めてGUILTYに出演しました。

そこでGUILTYに出会ったのですね。

そうですね。その時、組んでいたバンドは無くなっちゃっいましたけど、その後、先輩のバンドを観に行ったりしているうちに、ブッキングの人とも話すようになって。それで、改めて自分のバンドを組んだ時に、音源を持って行き、そこから本格的にGUILTYに出演するようになりました。

スタッフとしてGUILTYに入るときは、何かきっかけがあったのですか?

当時、渋谷に「G-STYLE」というGUILTY系列のスタジオがあって、バンド練習で使っていたんですよ。そこを使っていると(GUILTYの)ノルマが安くなったので(笑)。バンド練習が終わると大体、2時間くらいスタジオのロビーで話してたりしていて、その流れでスタジオの朝番でいた(GUILTYの)社長と雑談する事もよくありました。「そろそろ音楽の仕事をしたいなあ…」と真剣に考えはじめていた時期でもあって、それをポロッ、と話したんですよね。それがきっかけでした。まあ、拾ってもらったというか(笑)。

では音楽業界に入ってからGUILTY一筋ですね。

そうなりますね。ちなみに、そのスタジオのG-STYLEは、のちに経営を譲った先がクローズしちゃったみたいで、今はもうなくなっています。(※SOUND STUDIO G-STYLE 2013年閉店)

メジャーとインディーズの懸け橋になれるようサポート

それでは、最後にGUILTYからのメッセージをお願いします。

バンドさんやアーティストに対しては、メジャーとインディーズの懸け橋になれるようサポートしていきたいと思っています。店のつくりから照明・音響まで、ライブハウスというよりはホールに近く、クオリティの高さは実際に見て聴いて、使っていただければ分かると思います。

本日取材させていただいて、エントランスから内装のうつくしさに驚きました。

接客や清潔さといったサービス面は徹底しています。初めてライブハウスに来るようなお客さんにとってはうってつけの場所だと思います。GUILTYという名前には、いかついイメージを感じるかもしれませんが安心して来ていただきたいです。

ぜひ多くのバンドがGUILTYでライブをして、本田さんを打ち上げに誘ってほしいですね(笑)。本日は貴重なお話をありがとうございました。

渋谷GUILTYでは出演バンド・ブッキング受付中。詳しくはGUILTY公式サイトへ。Twitterfacebookもフォロー!

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2016年10月)

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