LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.28

下北沢 ReG

下北沢ReGE
下北沢ReG について
2010年オープン下北沢(南口)茶沢通り代沢三差路手前にひときわ目立つ、おしゃれな外観のビルがReGの複合エンターテインメントビルだ。B1ライブハウス・1Fレンタルスペース、2Fカフェ、3Fフォトスタジオを配備。各フロアーが多岐に渡る分野で活用されている。ライブハウスReGにおいては、絶対の自信をもつ音響と照明システムやレーベル運営、なにより店長の井上和也氏以下スタッフたちの熱い気持ちで出演バンドをサポートしている。大御所ミュージシャン達からの信頼も厚い。
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下北沢ReG公式サイト
世田谷区代沢5-30-10 アール下北沢B1F
TEL:03-6450-9346
下北沢ReG

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜下北沢ReG編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

下北沢ReG店長/WONDER SKA RECORDS代表 井上和也 氏
下北沢ReG公式ページ - Twitter

本日は下北沢ReG店長の井上さんにお話を伺います。よろしくお願いします。建物が新装のように綺麗でした。

外観も下北沢っぽくないと言われます。なので、みなさんにも「え? そんなに経ってるの?」と驚かれますが、今年で6年目になります。

ライブハウス含めて、このビル全体にReGの事業が入っているとのことで驚きです。

地下はライブホール、一階は事務所とレンタルスペース(ReGBoX)。レンタルスペースはトークライブをやったり、ライブハウスの物販や休憩所としても使っています。そして、二階はカフェ(art ReG Caffe)、三階はフォトスタジオになっています。

井上さんがReGに入ったのはいつ頃ですか?

僕は、2年前にReGに入り最近店長になったんです。ReGに入るまではちょっと長いのですが、大学時代は滋賀県にいて、THE GELUGUGU(ゲルググ)というバンドでギターをやりながら、B-FLATというライブハウスで8年、U-STONEで3年半、ブッキングや店長をしていました。なので、ライブハウス業界自体には14年いるんです。

ええ! THE GELUGUGUのギタリストだったのですか!?  THE GELUGUGUはボーカルのMCも面白く、巧みなライブ運びが印象的でチェックしていました。

1曲目が始まるまえにかならずMCしちゃったりする人です(笑)。

色んな意味で衝撃的なバンドです(笑)。では、話を戻しまして、滋賀のライブハウスから下北沢ReGに移った経緯について教えて下さい。

滋賀のライブハウス時代に、後に下北沢ReGを立ち上げることになるスタッフからアドバイスを求められたんです。で、滋賀にいながら、立ち上げプロジェクトに協力してました。また、THE GELUGUGUとして東京に来た際には、ReGでライブもするようになりました。

なるほど。立ち上げ当初から関わりがある立場だったのですね。

その後、THE GELUGUGUを脱退したことと、将来的なこともいろいろ考えるところもあり、オーナーと前の店長にも相談してReGに移動することにしました。実家がこっち(千葉県)というのもありました。2013年頃ですね。それで、今月から店長ということです。

ReGの店長が、まさかTHE GELUGUGUのメンバーだったとは、妙な縁を感じます。

僕は辞めてしまいましたが、THE GELUGUGUは来年20周年でして、実は、僕がReG内でWONDER SKA RECORDSというレーベルを作り、ここからTHE GELUGUGUのアルバムをリリースしています。来月10月7日にもシングルをリリースします。

ReGには3つのレーベルがあり、各々スタッフのやりたい音楽を自由にやっていいます。

井上さんのレーベルだというのはバンドも心強いと思います。ReGのレーベルについてもう少し教えてください。

今、ReGには3つレーベルがあり、各々スタッフのやりたい音楽やジャンルを自由にやっています。もちろんリリースにあたっては、ライブでのパフォーマンスや演奏のクオリティをスタッフみんなで話し合い、OKが出たものをリリースしています。

スタッフの音楽的趣向が活かされているのですね。

はい。僕はスカが好きなのでスカ系、ギターロック好きのスタッフはギターロック寄りのレーベルを作っています。各々が得意なジャンルのレーベル運営を担当する感じです。

そのあたり、現場のスタッフに任せられているというのはいいですね。

ReGのキャパ230に対してブッキンスタッフが5人と多くて、それが良い意味でスタッフ同士のライバル関係を作り出していますね。チームでありながら、各々の個性を出しながら動いています。ただ毎日のライブを埋めるのではなく、自分の色を出しながら、その先を考えてのブッキングをしています。

音楽というクリエイブな現場では理想的な関係だと思います。

そんなスタッフの気持ちがバンドにも伝わっているのか、ありがたいことに今は毎日スケジュールも埋まっています。去年はオフは1日しかありませんでした。

半端ない稼働率ですね。激戦区下北沢の中でもトップクラスではないでしょうか。

土日は昼のイベントもやってますからね。朝から昼の二時ごろまでイベントをして、その後入れ替えをして夜のイベントもやってます。

下北沢ReGがアカペラの聖地になりつつあります。

過去のバンドブームの頃さながらの盛り上がりですね。

今は、土日の昼イベントってなかなかやってないと思いますが、ReGではバンド以外にもアカペラグループや、社会人バンドで、お酒飲みながらゆったりやりたいという人達が使ってくれています。昼ならライブハウスを安く貸すことも出来ますから。

アカペラなど健全そうな音楽なら昼の方が良さそうです。

某有名なアカペラサークルがReGを使うようになってから、下北沢ReGがアカペラの聖地になりつつあるんです。毎月、最低でも1本はアカペラライブが入ってます。

聖地化! アカペラの名門になりそうな予感がします。

予算的にも昼なら安いのと、外観や内装が綺麗で一般的なライブハウスのような抵抗感がなく利用出来るというのも気に入ってもらったみたいです。

ReGは、非常に綺麗な外観ですが、同時に、ミュージシャンの納得するライブ感ある雰囲気も持っていますね。

一般的なライブハウスのイメージは覆していると思います。いわゆる『ザ・ライブハウス』が好きなバンドマンもいるとは思いますが、意外にも、大御所のハードコアやパンクなバンドほど、綺麗な内装の部分を気に入っていただいてます。

ハードな音楽ほど逃げ場は大切です(笑)。SLAYERのドラマーが「趣味は家庭農園。あんな爆音の世界にずっといられるはずないだろう」って言っていました。

ほんと、意外な方面の方達からも重宝されてます(笑)。

では、話は変わります。井上さんと音楽の出会いについて聞かせてください。

親父が、家でビートルズやエルビス・プレスリーをギターで弾いていた記憶はあります。バンドミュージックを意識するようになったのはTHE BLUE HEARTSですね。斉藤由貴と的場浩二が出演していたドラマ『はいすくーる落書』の主題歌『TRAIN-TRAIN』のレコードをレンタルしてカセットテープにダビングして、ずっと聴いてました。

名曲です。しかし、レコードからカセットへダビングって懐かしいです(笑)。今思うと貴重なアナログサウンド同士の作業…、良い音がしそう。

近所にレンタルレコード屋があったので(笑)。THE BLUE HEARTSのあとはX-JAPANにハマりましたが、X-JAPANは難しくて演奏できなかったので、THE BLUE HEARTSかBOØWYのコピーからバンド活動を始めました。それが中学生の頃です。

高校生になってからもバンド活動を?

高校生の頃は、Guns N’RosesやMetallicaでギターソロにハマり、Mr.BIGが出て来てたら、ドリル奏法をやって弦を切るというお約束な流れです(笑)。

スカのリズムになった途端にみんな踊りだしたんです。

ポール・ギルバートのマキタ電動ドリルですね。

それから関西の大学に進学してバンドを組みました。当時集まったバンドメンバーはスカが好きでした。僕はあまりスカを知らなかったのですが、まあギターを弾ければジャンルはこだわらなくてもいいと思っていましたが、実際にはじめてみるとスカには抵抗がありました。

それはなぜですか?

それまで図太い音でハードロックをやっていましたから。それがいきなりクリーンな音で、裏打ちでカッティングばかり。ギターソロもほとんどないですからね(笑)。

ハードロック系のギターからすると物足りないですね。

ところがライブをやってみたら、みんなが踊りだすんですよ。スカのリズムになった途端にみんな踊りだしたんです。

スカのライブはお祭りのように盛り上がりますね。アッパー系です。

その後、THE GELUGUGUと対バンをして気に入られ、一緒にツアーに連れてってもらうようになりました。僕は、特に気に入ってもらったみたいで、ボーカルのGENさんのソロバンド『ゲンスカ』という、完全にジュンスカを意識しまくった作品を作る際に、ギターで参加させてもらったんです。その後、THE GELUGUGUのギターが抜けるということで僕が加入することになりました。

下北沢は、ライブハウス同士良い意味でライバルだけど、協力もし合ってる

ここでTHE GELUGUGUに繋がるのですね。さて、それでは最後になります。ライブハウス激戦区の下北沢ReGからメッセージをお願いします。

ReGとしてのメッセージの前に、ライブハウスのスタッフの意見として、『生のバンド演奏を聴いてほしい』というのが大前提です。YouTubeでも何でもいいので、良いと思った音は、ライブ活動をしてるバンドだったら、ちょっと足を運べば観に来れますので、まずは生の演奏を観に来て頂きたい。

ライブハウス全体の総意だと思います。

ReGとしての意見では、うちは、音響や照明には絶対の自信があります。お酒も豊富にありますし、そして何より、うちは掃除と機材管理を徹底させて、お客さんにとって居心地良い空間を作ることを心がけてます。『お客さんにまた来てほしい』という思いは、店長の僕でも新しいアルバイトのスタッフでも同じ気持ちでやっています。

そういえば、ReGに入った瞬間「空気がきれい」と思いました。ライブハウスで初めてかもしれないです。

分煙機も設置して、タバコの煙が流れないようにもしてますから(笑)。

徹底していますね。下北沢はライブハウスごとの個性がハッキリしているんですよね。

下北沢は、ライブハウス同士良い意味でライバルだけど、協力もし合ってる。数が多いとそうなるのかもしれません。

ライブウォーカーも下北沢の魅力を伝えていきます。ReGの今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2015年10月 )

インタビュー特集一覧(バックナンバー)

バンドメンバー募集のメンボネット ミュージックジョブネット
サウンドペディア
WONDER SKA RECORDS
下北沢ReG内に井上和也氏が立ち上げたSKA専門レーベル。今年(2015年)10月にはTHE GELUGUGUのライブレコーディング曲を含めた全8曲マキシ・シングル『End Of The World』と、KEMURIのツアーにも参加した注目のスカパンクバンドSEVEN STEPのフルアルバム『Switch』を同時リリース。
THE GELUGUGU
“The end of the World”
(WSKA-004 )
通常価格(税込): ¥1,620
再熱するSKA CORE・SKAPUNKシーンに文句なしの新曲を投下!


THE GELUGUGU official site
www.gelugugu.com
Switch(WSKA-003 )
SEVEN STEP

通常価格(税込) : ¥1,944
ハードでポップなリズムとメロディに3管が絡む爆裂スカパンク。



SEVEN STEP official site
sevenstep.jp
ReGBoX
レッグボックス
ライブハウス「下北沢ReG」1F。通常ライブ公演時はReGと連動した物販・クロークスペースとして、またトークイベントや弾き語り・アコースティックライブに活用できる多目的フリースペース。キャパ椅子50席・オールスタンディング70人。
art ReG Caffe
レッグカフェ
下北沢ReG 2Fにあるダイニングカフェ。本格イタリアン料理と豊富なワインやシードル、ReGならではの空間演出で貸切最大120名まで対応。一人でもゆったりくつろげるバーカウンターやハンギングチェアもおすすめ。作品展示アーティスト募集中。
regcafe-r2.com
滋賀U-STONE
滋賀U-STONE
石山駅から徒歩1分、滋賀最大級400人キャパを誇るライブハウス。可動式フロアで、メジャーアーティストのツアー公演から地元高校生バンドライブまで、イベント規模やニーズに応じてドラマティックなライブ空間を提供。1FスタジオLOSwell併設。
滋賀B-FLAT
滋賀B-FLAT
琵琶湖ほとり浜大津に1999年に創業、滋賀インディーズシーンを牽引するキャパ300人のライブハウス。同フロア(6F)に「club HEAVEN」を隣接。幅広いサウンドとイベント形態に対応し、2会場企画やバンド練習スタジオとしても利用できる。