イベント会場の魅力探索ガイド Vol.5

サントリーホール

サントリーホール

1986年10月赤坂アークヒルズにオープンしたコンサート専用ホール。世界最大級のパイプオルガンを擁する2,006席の大ホールと小ホールで年間約600公演が行われている。

「世界一美しい響き」を求めて

サントリーホールは、理想的な響きを求めて最新の科学技術による音響テストと、生オーケストラ演奏による音響調整が繰り返し行われて完成した巨大な職人工芸作品でもあるのだ。

ワインレッドカラーのイス表地には葡萄の房がデザイン。三角錐のストライプ模様の側壁にはウィスキーの貯蔵樽に使われるホワイト・オーク材を使用、ステージ床は米マツ、パイプオルガンの装飾にも麦の穂を表現するなど、徹底してワイン、お酒にまつわるモチーフを用いている。さすがサントリーだ。

“お酒”にこだわるサントリー流

シャンデリアや壁画、ステンドグラスなど、随所に音楽やお酒をモチーフにしたアート作品や意匠が散りばめられている。ホワイエを彩るワインレッドのフロアー(写真)は継ぎ目のない1枚の絨毯でできており、出会いの時を待つ大ホールへの序奏を奏で、テンションを高めてくれる。

サントリーホールは日本で初めて、ドリンクコーナーでお酒を出したホールでもある。インテルメッツォ(間奏)と名付けられたバーコーナーでは、サントリーウイスキー『響』をはじめ、ビール、ソフトドリンクが楽しめる。

小ホール「ブルーローズ」も凄い

併設されている小ホール(最大432席)は、サントリーホール開館20周年の改修工事(2007年)を終え「ブルーローズ」という、おしゃれすぎる名前がついてる。明るくクリアな響きのホールで室内楽、リサイタル演奏のほか、大ホール公演終了後のレセプションパーティ、こども向け教育プログラムの会場としても利用されている。

「ブルーローズ」とは「奇跡、神の恵み」という意味。「音楽を愛する人々の可能性が花開く場でありたい」という願いを込めて名付けられたのだそうだ。青いバラの花言葉は「夢かなう」だ。

圧倒的な存在感のパイプオルガン

ホール正面には、オーストリアのマイスターが手作りで3年の年月をかけて作られた世界最大級のパイプオルガンが鎮座。その大きさと、迫る竹槍のようなホーンが迫力満点。

サントリーホールの建設には「世界一美しい響きをもった理想のホール」を求めて多くの人々が建設に参加した。参加者の一人である指揮者のカラヤンからは「音楽は演奏者と聴衆が一体となってつくる、ともに喜び楽しむもの」という崇高なテーマが与えられた。ちなみに、ステージを取り囲むようになだらかなスロープを描く客席の配置を、葡萄の段々畑にちなみ「ワインヤード方式」と名付けられている。やはり、どこまでいってもお酒なのである。

行こうぜ!サントリーホール

サントリーホールでは無料コンサートが行われているのをご存知だろうか? 毎月木曜日のランチタイムに行われているプロムナードコンサートでは、大ホールが一般開放され、巨大なパイプオルガンでのオルガンプレイが無料で楽しめるのである。日本が誇る「世界一美しい響き」の音楽コンサートホールを、あなたの耳と目で確かめてほしい。

※このページはライブウォーカーによる企画・取材・編集コンテンツです。当サイトはサントリーホールおよびサントリーとは関係ありません。
MUSIC-MDATA編集部 (取材日:2016年5月)

所在地:東京都港区赤坂1-13-1 / 六本木一丁目駅からのアクセス駐車場ファミレスコンビニカフェ

魅力探索ガイド一覧(バックナンバー)

サントリーホール・バックステージツアー
エントランス・入場
正面玄関の上壁から登場するパイプオルゴールの演奏とともに開場。オルゴールについてレセプショニストによる説明があり、受付にて資料を受け取り、左のブルーローズ(小ホールへ)。
『サントリーホール誕生』鑑賞
 
約19分の映像作品『サントリーホール誕生』を鑑賞後、ブルーローズ(小ホール)について詳しく説明。(※写真の映像は入場時に流れているもので本編は別)
バックステージツアー開始
ホワイエの内装とアート作品、エントランスの金色モニュメントや『響』マークの説明からはじまり、3グループに分かれてツアースタート。
ステージ裏・搬入口見学
 
通路にあるアート作品の紹介。写真は『サントリーホール2006』マーティン・リーブシャー氏の作品(森美術館寄贈)。エレベーターで地下に降り、ステージ真下にある機材搬入口やピアノ庫を見学。
控室・バックステージ
 
控室の中も見学できる。写真はマエストロ(指揮者)のためのA楽屋。この部屋からステージの距離は約11歩、集中力を維持してステージに出られるよう設計されている。
ステージ・ホール内を見学
客席を見渡せるステージ上にも立てる。ステージ床に無数に空いた穴は、チェロのエンドピンの跡。奏者はいつも使っている穴がどれかわかるという。
パイプオルガンを間近で
コンサートの余韻さめやらぬ中、巨大パイプオルガンを演奏するコンソールを間近で拝める。壁面に見えているパイプは300本くらいで合計5898本のパイプがあるらしい。
参加者へのアドバイス
約30分のオルガン・プロムナードコンサートと合わせて楽しめるホール見学ツアーは月1回・木曜日に開催。10:40開場〜13:15分頃に終了。ツアー中は手荷物と資料(角二封筒大)を持ったままの移動となるので注意。全ツアー中(コンサート開場と開演時を除く)写真撮影はOKだが録画・録音は不可。