イベント会場の魅力探索ガイド Vol.27

東京芸術劇場

Tokyoでめぐり逢う、芸劇的パースペクティブ

2020年に開館30周年を迎える「首都Tokyo」の音楽と舞台芸術を代表する総合芸術文化施設、愛称「芸劇(ゲイゲキ)」。世界唯一の回転式パイプオルガンを擁するコンサートホールと3つの劇場を中心に、ギャラリーやアトリエを複合したランドマークとして都民から愛される。

1990年10月池袋西口公園にオープン。2009年、初代芸術監督に野田秀樹氏が就任。2012年9月の新生芸劇リニューアルとともに「世界への窓」となる創造・発信型劇場をめざして前進中。

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一期一会の響きが生まれる1,999席のコンサートホール

1,999の客席ともう1席は音楽の女神ミューズのために捧げられている、というのは芸劇コンサートホールのトリビア。赤く鮮やかに階調するヴィンヤード形式のシートは太陽の光に照らされたぶどう畑を想わせる。

大理石の壁は、木製リブを配して質感を高めるとともに、プリズムに反射する豊かな音色を視覚的に演出。空間そのものが楽器となるホールの個性を味わい、内化された「神殿」に音楽的時間が生き生きと花ひらく。

残響時間(満席時)2.2秒(空席時)2.7秒。

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モダン&クラシカル、世界で唯一「回る」芸劇オルガン

約9000本のパイプと126のストップをもつ世界最大級の回転式パイプオルガン(フランス・ガルニエ社製)。楽器全体の重さは70トン、最も低音の32フィート管は約10mの長さがある。

最大の特長は、ルネッサンス・バロック様式(B)とモダン様式(A)が背合わせに一体となった独自のオルガンシステム。表裏2 面の顔をもち、3種類のオルガンで4つの時代の音楽を表現できる。

“役者”と時代が入れ替わる「回り舞台」のオルガン転換は芸劇ならでは。

【A】モダン:フランス古典から19世紀ロマン派(平均律に近いa=442Hz)。5段手鍵盤の演奏台。ホールと調和した外観デザインは「Owl=フクロウ」からイメージ。

【B】ルネッサンス・バロック: 17世紀オランダ・ルネサンス(a=415Hz/ミーントーン)と18世紀ドイツ・バロック(a=415Hz)の切り替え式。共通の3段手鍵盤の演奏台。装飾細工が美しい木製の鍵盤は櫛などに使われるツゲ材(黄楊)でできている。

【C】ポジティブオルガン:草刈オルガン工房製の可動式オルガン。ケースの彫刻には昔この地にあった学校の校章を想わせる撫子の装飾。

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五線の扉、薔薇モティーフが綾なすホワイエ

クラシック演奏に理想的な環境を整えたコンサートホールは、建物最上部、プレイハウス舞台天井(ぶどう棚)の上空に広がる”蒼天”の芸劇空間。

世界的にもめずらしい高層の本格音楽ホールへいざなうエスカレーターに乗りこめば、天に昇るような神聖な高揚感に包まれる。

5Fにエントランスとクローク、7Fと最上階9FにBARラウンジ。7Fホワイエの一角にベートーヴェン自筆の書簡と楽譜(複製)を展示。

足もとに目を転ずれば、一面のバラ模様。ゆらぎの波形が綾なすモティーフが階をつらぬいてアート広場に現れる。

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幾何学とアートを旅する「劇場散歩」

1% for Art(=公共建築の総工費の1%を芸術・アートに充てる取り組み)を体現する芸劇ではパブリックスペースに数多くの作品を展示。

【A】フレスコ画の第一人者・絹谷幸二の天井画シリーズ『天地人』
天「蒼天のひと」、地「東京の太陽」、人「ローマの友達」
【B】モーツァルト・イヤー1991を記念してザルツブルグ市より寄贈されたクリスタル像(スワロフスキー社製)/コンサートホール内
【C】皮革工芸家・大久保婦久子『海の幸』
【D】彫刻家・笹戸千津子『シャツ・ブラウス』
【E】彫刻家・佐藤忠良『マーメイド』
【F】ガラス彫刻家・滝川嘉子『迷宮へー明日への記念碑』
【G】ハンガリーの彫刻家マルトン・ラースロー『リトル・プリンセス』
【H】彫刻家・掛井五郎『犬も歩けば足の上』
【J】内井乃生の大型タペストリー3点『TOKYO COSMO』
【I】彫刻家・多田美波『調 Phrase』/コンサートホール内

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芸劇の顔、4つの劇場を臨むアトリウム

地下1階から5階まで吹き抜けのアトリウムは、すべての劇場エントランスを一望する芸劇の玄関口。創造性のバトンをつなぐリニューアルで、設計コンセプトの『開かれた劇場』を実践する魅力的な空間へと進化。細部の装飾デザイン、ソファや椅子にもこだわりが光る。

アトリウムや劇場前広場では、芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー生による無料コンサートも催される。

チケット窓口と総合案内のボックスオフィス、レストランやカフェ、ショップ、郵便局や音楽スタジオを併設。

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響きあう。身体―劇場―都市―世界

池袋西口公園と連続した都市景観を形成する「東京芸術劇場」は、日本の近代建築を代表する建築家・芦原義信の設計。ピラミッドの頂をもつガラスのファサード、同心円の広場、東西のシンメトリーなど、バッハの楽譜を読み解くような数学的な美と象徴性を湛えている。

文字と建築が照応し、演劇、ダンス、音楽を中心とした実演芸術、上演以外のさまざまな創作表現活動、そして劇場のかたわらを行き交う都市の生活が有機的に関わりあい、響きあう。

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所在地:豊島区西池袋1-8-1 池袋駅からのアクセス周辺駐車場公式サイト

※このページはライブウォーカーによる企画・取材・編集コンテンツです。当サイトは東京芸術劇場および東京都、公演主催者、スポンサー等とは関係ありません。また、敷地内の写真は許可を得て撮影しております。画像・文章の無断転載等は禁止いたします。

MUSIC-MDATA編集部(取材日 2020年1月)

魅力探索ガイド一覧(バックナンバー)

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プレイハウス
演劇や舞踊、ミュージカルを主とした834席の中劇場。客席を囲むレンガ壁は意匠性とともに音響効果を高め、見やすく演じやすく臨場感ある空間を演出。中長期的な公演を中心に、野田芸術監督のもと多くの話題作を上演。
シアターイースト/シアターウエスト
フラットで自由度の高いブラックスボックス型のイースト、固定舞台とフレームをもつウエスト、東西シンメトリーに並ぶ2つの小劇場では多彩かつ実験的な舞台作品を生みだされる(各200〜300席)
アトリエイースト/アトリエウエスト
シアターイースト/ウエスト各々に隣接したギャラリー。木立を象った壁の向こう側はアート展示やリーディング上演など自由で多様な創造活動の場。奥行きのあるワイドな壁面が特長。
ギャラリー1・2
5Fアート広場に隣接した展示スペース。ギャラリー1は前面ガラス張り、可動式の壁面パネルがあり、美術や工芸、写真、書などの作品展を開催。
リハーサルルーム
オーケストラ、室内楽、ダンスや演劇の練習に利用できる6つのリハーサルルーム。公演関連レクチャーやワークショップも行われる。
特選のグルメコーナー
本格イタリアンやテラスのあるブラッスリー、「峰屋」のパンなど館内グルメも充実。プッチーニゆかりの老舗カフェ「ビチェリン」では看板メニューの濃厚なチョコレートドリンクが楽しめる。
池袋駅直結通路
池袋駅「2b出口」と地下連絡通路で直結しているので、雨の日も傘をささずにアクセスできる。B1「ロワー広場」は待ち合わせにも便利。
サウンドペディア
池袋駅(豊島区)
池袋駅(豊島区)
新宿、渋谷とならぶ山の手3大副都心で、JR・東京メトロ・西武池袋線・東武東上線など4社8路線が乗り入れるターミナル駅。埼玉方面からの東京の玄関口として知られる。東西に3つのバスターミナルがあり、高速バスや深夜急行バスも多数発着。「ふくろう」がまちのシンボル。