LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.110

渋谷 clubasia

渋谷clubasia について
円山町と道玄坂の十字路に4店舗を展開する「Culture of Asia」の旗艦店。1996年のオープンから四半世紀、ヒップホップ、レゲエ、テクノ、ハウスと時代の遍歴とともにダンスミュージック文化構築の一躍を担ってきた東京日本を代表するクラブ。現在もライブハウス&クラブの両面でGroove(音溝)を刻み、あらゆる音やことばを宿すボーダレスなカルチャー発信地として輝きを放つ。天井高6mのメインフロアとバーラウンジ、3フロア回遊型のユニークな空間も魅力。
渋谷clubasia へのお問い合わせ
渋谷clubasia公式サイト
渋谷区円山町1-8
TEL:03-5458-2551(受付時間 15:00-23:00)

クラブ&ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 渋谷clubasia 編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

渋谷clubasia 店長 鈴木将氏

本日は、渋谷VUENOSにつづいて、エイジアグループのライブハウス&クラブ「clubasia(クラブエイジア)」の鈴木将さんにお話をお伺いします。会社の設立は1995年とお伺いしましたが、店舗のオープンはいつになりますか?

clubasiaのオープンは1996年3月です。今年(2020年)で24周年となります。

渋谷でも随一の歴史と知名度をもつ箱です。鈴木さんはいつごろ入られたのですか?

僕は2009年8月に入社しました。当時は同じ株式会社カルチャー・オブ・エイジアのGlad(2020年5月31日閉店)やLOUNGE NEOのDAY TIME店長を経て、現在はスペース事業部部長としてclubasiaを担当しています。

入社されるかなり前の話になりますが、オープン当時のclubasiaはどのようなお店だったのでしょうか?

ショーケースのある飲食店として営業を開始し、そこからライブ演奏ができるようになったり、深夜帯まで営業時間を伸ばしたりと、営業形態が変化してきて現在のライブハウス&クラブ運営に至ります。

テクノやハウスブームの時代にはクラブシーンの中心的存在としてその名をとどろかせました。

はい、僕がclubasiaで遊んでいた頃はエレクトロの全盛期でしたが、ほかにもサウンドシステムを導入したダブステップのパーティー等、様々な音楽が鳴っていて毎週末盛り上がっていました。最初はヒップホップとレゲエから始まったそうですが、歴史が長いので、店長が代わるたびに時代によって音楽的趣向も変化してきたと思います。

ということは、現在のclubasiaは鈴木さんの音楽趣向になってきている?

そういう部分は勿論あると思いますが、ひとつの音楽ジャンルに特化したり、世代や性別でカテゴライズできたりする店づくりはしたくなくて。お客様にもアーティストにもclubasiaに対する先入観なく、世代もジャンルも超えたところで一緒にイベントを作りましょう、という方針です。「なんか色々やってるよね」ぐらいが丁度よくて、実はそれが1番「エイジアらしさ」に繋がると思っています。「全ての音楽を受け入れる」というのが僕の姿勢ですが、ただ何でもありではなく、カッコいいことをしましょうという。

充実のバンドカルチャーをナイトタイムにもつなげたい

都内には渋谷だけでも相当数の箱があり、お店どうしの競争もありそうですが…。

そうですね、この近隣にも勢いのある色んなクラブさんがありますから、うちも歴史に甘んじず攻めていかなければいけないと思っています。

なにか具体的に考えていることがあれば教えていただけますか?

アイデアのひとつとして、夜(CLUB TIME)の時間帯でのバンドイベントの強化です。おかげさまで、昼(DAY TIME)の時間帯は全国ツアーの東京公演としてclubasiaが組み込まれたり、ワンマンライブの開催が多かったり、実力のあるバンドさんの出演が多くあります。そのカルチャーをナイトタイムにもつなげていきたいところです。

クラブタイムでのDJカルチャーとバンドイベントが融合する感じ?

はい、近年はCLUB TIMEとDAY TIMEの隔たりがなくなってきているので、夜にもどんどんバンドをブッキングしてしまおうかなと。そもそも、常時バンドライブに対応できるクラブは都内でも少数派ですから、それがclubasiaらしいイベントにもつながります。実際、僕が遊んでいた頃のcluabsiaのクラブイベントには様々なジャンルの素晴らしいバンドが出演していましたし、clubasia=バンドのイメージを持っている方は今でも沢山いると思います。隔たりもない今だからできるライブパーティーにチャレンジしたいですね。

昼夜を彩るブッキングはclubasiaの真骨頂ともいえそうですが、サウンドの両立が難しそうです。

音響設備やサウンド面は自信があるところなので問題ありません。6メートルある高天井の空間に、広さのあるステージ、バンドライブも鳴らせるEAWの万能な音響システムは、そのようなclubasiaの環境やシステムを熟知したPAエンジニアが担当しますので、バンドサウンド、クラブサウンド、アコースティックやアイドルまで、どんなリクエストにも対応できます。

山形の山奥でやった48時間DJイベントで知った、裏方の楽しさ

では、つづきまして鈴木さんがこの仕事に関わることになった経緯、まずは音楽の出会いをおしえてください。

音楽との出会い、というと初めて自分で買ったサザンオールスターズのCDということになるでしょうか。同時期に発売されていた「エロティカ・セブン」か「真夏の夜の夢」(松任谷由実)のどちらかを買うか悩んで迷った末…。

同時期(1993年)にリリースされた大御所アーティストからサザンを選んだのですね。

はい。そこから掘り下げていってビートルズにたどりつき、ビートルズをきっかけに、その時代のロックを聴くようになり、そんな自分に反発するようにセックスピストルズなんかのパンクも聴いていました。中学・高校の時代ってそういう時期ですよね。

つぎつぎに新しい音楽に出会って、どんどんハマっていく。

Hi-STANDARDが出てきてメロコアにはまってからはライブにも行くようになりました。AIR JAMにも行きましたし、そのあたりからより音楽にふれるようになって…。

基本的にはロック畑出身ということですね。

そうですね、バンド畑と言ってもいいかな。

音楽業界にはどのように入っていったのですか?

元々、中学校の社会の先生を目指していたのですが(笑)、いろいろ将来を模索するなかで裏方として音楽の現場をサポートする仕事がしたいと思い、僕の出身は山形県の天童市なのですが、仙台市にあるイベント会社に就職しました。

なにかきっかけがあったのですか?

20歳になった大学時代のある日、先輩から「レイヴパーティーをやるから手伝ってくれ」と誘われ、地元山形の山奥で48時間ぶっ通しのトランスのDJイベントの手伝いをさせられたことがあって、こういう音楽(文化)もあるのかと…(笑)。そして初めて裏方としてイベントに関わって音楽をサポートする楽しさを知りました。

ここまでオールジャンルに楽しめる箱はほかにないでしょ!

それからこの業界一筋?

そうですね。最初の会社ではアーティストの全国ツアーの地方担当として、東北エリア6県のブッキングやツアーマネージメント、チケット販売から当日の運営までやっていました。その後、仙台から上京して、メジャーデビューしたバンドのマネージャーやアーティストの全国ツアー、アリーナコンサートや野外フェス等の制作に携わり、カルチャー・オブ・エイジアに入社して現在(clubasia店長)に至ります。

豊富な経験が運営にも生かされているのですね。音楽的な多彩さと質の高さ、多くの人に愛されるclubasiaの存在感は今なお際立っています。

そこはclubasiaという箱を使ってくれるアーティスト、オーガナイザーさん、24年という長い歴史を築いてきた歴代の店長によるところが大きいです。バリエーションに富んだクオリティの高いイベントを持ち込んでくれたおかげで、どんなイベントでも成立するお店に成長できたのだと思います。僕はまだまだ新米店長ですので(笑)。

まさにclubasiaのブランドが確立している所以ですね。すばらしいと思います。それでは最後にclubasiaからメッセージをおねがいします。

clubasiaには、ライブハウスの顔とクラブの顔があり、バンドライブやDJイベント、アニソンやLGBTのパーティー、泡パまで、ここまでオールジャンルに楽しめる箱はほかにないでしょ?というくらい、様々な音楽で溢れています。それぞれのスタイルに合った音楽が必ず見つかる店だと自負していますので、DAY TIMEでもCLUB TIMEでも、好きな時間に遊びに来ていただいたら嬉しいです。必ず素敵な音楽やイベントに出会えるはずです。

前回から2回に渡ってエイジアグループのクラブ&ライブハウスを紹介させていただきました。これからも世界に向けられるカルチャー発信地として注目してまいります。本日はありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2020年2月)

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渋谷円山町にclub asia(1996年3月)、通りを挟んだ道玄坂にVUENOS(1998年10月)LOUNGE NEO(2002年11月)Glad(2010年2月)の4店舗を運営。日本のCLUBシーンの礎となるダンスミュージック文化構築に貢献し、CLUB&LIVEの両面でシーン最先端のサウンド・エンターテイメントが楽しめる。
渋谷駅(渋谷区)
渋谷駅(渋谷区)
JR・京王井の頭・東急・メトロの4社9路線が乗り入れる巨大ターミナル。2020年1月に銀座線が移設リニューアル、渋谷スクランブルスクエア東棟と直結したJR「中央東改札」が新設。6月に埼京線・湘南新宿ラインの新ホームが山手線と並列化。3月末には東急東横店が85年の歴史に幕を下ろすなど、100年に一度の渋谷大改造まっただ中。乗り換え導線の複雑さから迷宮(ダンジョン)と称される。