ライブやろうぜ! ステージファイル Vol.11

高円寺ShowBoat

高円寺ShowBoatについて
2013年で20周年を迎えた著名なスタジオミュージシャンが多数出演することで知られる実力派なライブハウス。前身は、仙川でゴスペルという名前でノイズ系やアンダーグラウンド系音楽を中心に展開。その後に現在の高円寺へ移転し現在に至る。ShowBoatへの出演はプロ・アマ問わずオールジャンル条件は特になし。「純粋に“かっこいいと思ってやっている人たち”に興味がアリ」とのこと。
高円寺ShowBoatへのお問い合わせ
高円寺ShowBoat 公式サイト
杉並区高円寺北3-17-2 オークヒル高円寺B1
TEL:03-3337-5745
高円寺ライブハウス ShowBoat

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜ShowBoat編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

高円寺ShowBoat

高円寺ShowBoat 店長 遠田亜希子氏(左)ブッキング担当 依田智佐子氏(右)
@twitter / Facebook

今回は高円寺ShowBoatの店長の遠田(おんだ)亜希子さんとブッキング担当の依田(よだ)智佐子さんにお話を伺います。まず、ShowBoatに対するイメージですが、そうそうたるスタジオミュージシャンが出演してるハコだという印象があるのですが?

依田(ブッキング担当)一プレイヤーとしてしっかりお仕事している人たちの遊び場って面も持ってますね。普段は織田哲郎など著名な方のバンドプレイヤーとして活躍してる人が、自分がリーダーになって好きなミュージシャンを集めてバンドを組んで、その日限りのバンドを組んだり、その日きっかけで定期セッションを開いたりというのはここ数年増えましたね。

若い子にとっては、店のチラシ見てたら大物だらけで身が引けそうな程の面子ですけどね(笑)。

遠田(店長)そう思われちゃうのは心外なんです(笑)。実際は、オーナーの繋がりってとこが強いんですよ。私や依田が、若い子をブッキングしようとしても、バンドの方から足が遠のいちゃうってのもあって、難しいとこがありますね。

依田ShowBoatが媒体などに出してるお店の紹介文には"プロ・アマの垣根なくライブが出来るライブハウス"とは出してあります。純粋にかっこいいことやってる人にしか興味ないですね。

アマチュアでノルマのかかるようなバンドでも、面白いことをやっていればいくらでも応援したいです。

最初はお客さんを呼べなくてもいいから“こういう音楽をやっていきたい”という気持ちがあるバンドと接していきたい

店の門戸は広いという事ですね!? さあそれでは早速直球でお聞きしますが、近年のライブハウスシーンをどう捉えてますか? 良いこと悪いことそのまま話していただきたいです。

遠田&依田ええ〜(苦笑)。

遠田そうですね〜…。バンドの覇気が無い。特に若い子かな。自分が20代のころは、友達のバンド行っても、その他の出演バンドも楽しんでたりしてたんですけどね。最近の若い子に話聞くと『知り合いには見せたくないんでお客さん呼んでないです』ってことを言ってたりするんですよ。ノルマを出演料としてライブハウスに払ってるような感覚なのかな?

それは新しい感覚だ(笑)!

遠田アマチュアすぎるんでしょうかね?

依田『自分たちのライブをお金を払って観てもらうなんて出来ない』って平気で言うんですよ!? ノルマ分の人数呼んでも、その人たちからチケット代も貰わずに、自分たちでノルマ代出して帰るバンドも少なくないですね。そういう人たちは音楽で食ってくというつもりもないのかもしれない。そういう人たちとじっくり話す現場もないんで、ついつい業務的に話すだけになっちゃって…。

出来れば、最初はお客さんを呼べなくてもいいから“こういう音楽をやっていきたい”という気持ちがあるバンドと接していきたいですよね。

僕もまだ多くのライブハウスさんには聞いていませんが、似たような現状だとは言ってましたね。レーベル自体も、バンドを育てたくても育てられない現状もあると。そもそもなぜバンドやレーベルに覇気がなくなったんだと思いますか?

遠田世相でしょうか?  私なんかは東京出てきたときはライブハウスが面白すぎたんですけどね。大きい音で音楽聴けて酒がのめて遊べるなんてすごいことだと思うんです。

酒飲んで生の音楽聴いてハメ外せるなんてライブハウスくらいしかないですもんね。

依田何してもいいと思って破壊行動に走ったりと、何か穿き違えた人もいるから、全体的に大人しくなっちゃったのかな? でも、さらに昔はもっと暴れん坊も居たしなあ…。 まあそこまで暴れないにしても、ライブハウスに来て"非日常"ってものを感じてくれればいいのに。

佐藤タイジさんなんかはお客さんがノってないと叱ったりしますよね(笑)

遠田&依田あるある(笑)!

依田でも、ファンの人たちも慣れっこだからそれにノッてきますけどね(笑)。ちゃんと教育されてます(笑)。

良いと感じる面はありますでしょうか?

依田もちろんプラスのこともありますよ。新たな出会いもあるし、ShowBoatを知らなかった人が、呼びかけて出演してくださったのをきっかけに、実はその方の知り合いがよくここに出演してるのを知ってShowBoatを身近に感じてくれるようになったり。そういった人たちの繋がりや話を聞いたりするのは楽しいですね。外を知らないので、繋がった人たちから外の情報を聞いたりするのも楽しいですよ。

高円寺はアンダーグラウンド感が強いんだなと思いましたね。下北沢には見られない色ですよね(笑)

出会いは音楽の真骨頂でもありますね。さて、少し話は変わりますが、高円寺は日本中で認知されている独特な音楽文化が根付いてる街だと思うのですが、そういった部分は感じますか?

遠田ここでしか働いてないから他と比べられないんですけど、昔ながらの土地柄で、昔からあるライブハウスばかりで、余所には無いカラーだとは思いますよ。

依田下北沢には見られない色ですよね(笑)。前に、渋谷とか表参道とかお洒落な場所でライブしていたバンドが、精算の時に『君たち高円寺とかでやってた方がいいよ』って一言投げ捨てられて終了って事もあったらしいし、 (高円寺は)アンダーグラウンド感が強いんだなと思いましたね。渋谷や下北沢に行き慣れてる人には、ちょっと足運びにくい場所ってのは聞きますよね。イメージがディープ過ぎるのかな?

街自体は、やはりディープかと(笑)。

依田え? ほんと(笑)?

遠田街かぁ…(しみじみ)。

ただ、高円寺ってのは、例え知らないハコで知らないバンドを見たとしても一定のクオリティーを保ってると思います。流行りに流されない実力者が多いからクオリティーにハズれが少ない。

依田面白いことやってる人は多いですよね。逆にクオリティーがしっかりしてるから、お客さんの面白いというラインに触れるのが真っ二つに分かれるのかもしれない。合わなかったお客さんには高円寺ってのものが理解できないところになっちゃう。奇をてらって変なことやってるように見えてしまうんだと思います。

区別がつかないのはもったないなあ。

遠田高円寺に慣れ親しめば理解できるんですけどね。ちょっと怪しい、ディープ過ぎる雰囲気のおじさんもいっぱいいる街だけど(笑)、その人たちのやってる音楽がすごくかっこよかったりする。

それが普通の光景になってるから高円寺って面白い(笑)。ところで、元気のない状態が続く音楽業界ですが、それでも音楽で成功したいと思って頑張っている若い人たちも沢山いると思います。そんな人達に向けてShowBoatなりのアドバイスや意見を頂きたいです。

依田色々戦略を立てるのは良いと思うけど、自分たちで動くわけでもなく、誰かに拾ってもらうのを待ってる人たちは駄目! 業界のおじさんに拾ってもらってテレビ出て…、そういうのを描いて動いてしまってる人も中にはいるとは思うんですよ。自分たちに都合の悪そうな現場には出演しなかったりとかね。

例えば、某ライブハウスのようにノルマなしのシステムって素晴らしいし、個人的にも理想的だと思うのですが、現実的にはうちでは出来ない部分もありまして、ノルマをとる場合もあります。ただ、その条件を飲めなくて出演しないってのは、せっかくの素敵な出会いなど数々の可能性を見逃してしまってるんじゃないかなと思います。

知識が氾濫した分、 バンド側にも“浅知恵”がついた感は否めないですね。

遠田アドバイスって言っても知識は向こうのがあったりしますからね(笑)。ライブハウスが出来る事ってのは常に考えてるんですが、コレという明確な答えはなかなか出しにくいですねえ。

依田ドリンク飲み放題や、再入場ありや、チケットの値段を安くする等の工夫はしますが、それが集客に直結するとは思わないんですよね。昔はライブハウスについてるお客さんとかがいて、お目当てのバンドが出てなくても、『今日はどんなバンドがやってるかな? 来れば誰かしら仲間がいるだろうから行くか』って感じでお店に来てる人もいました。今はそういうことはありませんからねえ…。インターネットのおかげで、顔を合わせなくても相手が何をやってるかわかっちゃいますもんね。

どこのライブハウスさんも、ネット普及による出不精の影響は受けているようですね。

依田だからライブハウス側も、ブッキングにも意味をつける必要が出てきました。ただ面白いだけでブッキングするのではなく、"このバンドとこのバンドは、これこれこういった理由でブッキングしました"っていうのを提示しないと、バンド側自体も呼ばれる意味を気にしているのでやりたがらないんですよね。

と、こんなこと言ってますけど、自分自身のブッキング力も理想におっついてないとこがあるからなんとも(笑)。

ブッキングも一日中考えてなきゃいけないですもんね?

依田ずっとそれですよ。終わりがない作業ですよ。三か月、半年後ってずっと埋めていく作業。ただ、そのせいにしてバンドと連絡するのが疎かになったりすると、皆あっという間に離れてしまいます。こちらのお膳立てがしっかりしていれば、それに向けて協力しようってバンドも多いんじゃないかなって思ってます。

ですよね。そういえば三軒茶屋の某ライブハウスのブッキング現場で面白かったやりとりがあって、『この日にライブして欲しいんだけどYesかNoのうち“Noは無し”でどっち?』ってのがありましたよ(笑)。

依田キャラクターの良さで通じてしまうってのはありますよね(笑)。

遠田うちの社長もそっち系だよね。『お願〜い!』って言って頼んじゃうの。

何も知らないふりして『あのバンドと対バンしてくださいよ〜!』とか言っちゃいます(笑)

覇気が無いと言われる若い層も多いですが、中にはベテランが思いつきもしないような工夫をして上へあがっていくバンドやユニットも見られると思います。例えばBiSやThis is Panicといった、エンターテインメント性と型破りな実験性を兼ね備えたユニットと、ShowBoatに出演しているような名のあるベテランが対バンするのも面白そうです。

依田そうなんですよ。ベテランと組むと面白そうなユニットさんもいます。今年、パール兄弟さんが再結成して、ShowBoatの20周年イベントにも出演してくれて話題になったりと、サブカルチャーの要素を含んだ面白い音楽同士で一緒にやるのもいいかなあと思ってるんです。ただ対バンさせるのでなく、一緒に新曲作って一緒にライブしてくれるとかも良いですよね。

客目線からみると最高ですよ。アーティストやハコ側から捉えるとデメリットもあるのでしょうか?

依田若い子にとっては勿論うれしい事なんですけど、ベテランにとっては“相手による”ってところがあります。若い子たちとやりたがるベテランは沢山いますが、中には『若い子たちと一緒にやれることで純粋に楽しめるの? 僕たちにはどんな得があるの? そこをしっかり提示してほしい。』と言ってくる人もいますから。それがお金なのか、何なのかは人によって変わりますが…。

若い子は頑張っていてもお客さんが来ないことはよくありますし。ただ、ベテランとベテランのブッキングも難しいとこはあるんです。経験が豊富ですから、過去にいざこざがあったりとかもするんですよ。

でも、お客さんから見たら、対バンしてほしいバンド同士だったりもするんで、そういう時は何も知らないふりして『あのバンドと対バンしてくださいよ〜!』とか言っちゃいます(笑)。それしかやり方が無い時もあるんです(笑)。女だから通用するというか、知らないってのが強みになる時があります(断言)!

遠田それホント(笑)。これが男だったら相手にもしてもらえない手段です(笑)。

また思い切ったこと言っちゃってますよ(笑)! お客さんには嬉しいことだけど(笑)。

遠田なんかもっと良い事言った方がよかったのかな…?

全然OKです(笑)。本音トークの方が伝わりますから。ブッキングの現実を知らない方も多いと思いますので、これを期にライブハウス、バンド、お客さんの距離が近くなってくれれば現場に新たな盛り上がりもできるはずです。今日は貴重な話をありがとうございました。

遠田&依田ありがとうございました〜。

インタビュー&ライター 浅井陽 BLOG / Twitter(取材日 2013年11月)

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織田哲郎
東京都出身。1990年代のヒット曲の仕掛け人であり、ビーイングの創立に関与する。1990年代に同じくヒット曲を量産した小室哲哉と並ぶ作曲家として知られる。TETSU名義で『装甲騎兵ボトムズ』の主題歌なども製作した。
佐藤タイジ
徳島市出身。ファンクロックバンドTHEATRE BROOKのフロント(Vo&Gt)を務めるカリスマミュージシャン。脱原発を標榜しTAIJ at THE BONNET、インディーズ電力等のバンドや、ソーラー発電電力のみで武道館でのロックフェスを主催するなど活動家でもある。
高円寺(杉並区)
JR中央線高円寺駅周辺の繁華街エリア。ミュージシャンには根強い人気があり時代に左右されないアンダーグラウンドな文化を継承している。そのために都心から好アクセスな立地でありながら良い意味で垢抜ける事ができない、愛されている街の形の一つである。
再入場あり
ライブハウスなどでのイベント全般において一度会場を出た場合は再び入場することはできない。これを認めてしまうと、一枚のチケットで入れ替わり立ち代わり復数人の入場が可能となり、チケット代金が意味をなさなくなるうえ、入場者数の管理なども煩雑になるため必然のルールではある。再入場を許可する「再入場あり」にするためには、チケット所有者の把握が必要になるなど運営サイドの負担が大きくなる。
パール兄弟
サエキけんぞう(Vo)が中心となって結成されたテクノ・ロックバンド。メンバーには窪田晴男(Gt)バカボン鈴木(Ba)等の凄腕ミュージシャンが揃う。1986年デビュー。斬新すぎるサウンドで音楽マニアを惹きつけた。2013年には当時のオリジナルメンバーを含む5人編成となりShowBoatにて復活ライブを行った。