ライブやろうぜ! ステージファイル Vol.61

神楽音 & KGR(n)

神楽坂 神楽音ついて
2017年5月神楽坂・早稲田通り沿いにオープン。「ライブハウスらしくないライブハウス」を掲げるアーティストマインドあふれる音楽スペース。ライブアクトを中心とした神楽音(カグラネ)と、DJ・エレクトロニック中心のKGR(n)という二つのブランドを展開。PA機器からケーブル、電源にいたるまでレコーディングスタジオクラスの音質を追求した解像度の高い音を実現。洗練された内装はギャラリーとしても利用可能。カレー、ホットドッグ、ガパオライスなど充実したフードメニューもうれしい。
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ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 神楽坂 神楽音 編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

左)森堅一 氏(アソルハーモニクス株式会社代表取締役)
右)森大地 氏(株式会社キルク代表取締役社長)

本日は、先月(2017年5月)オーブンした神楽坂「神楽音(カグラネ)」の森大地さん、森堅一さんにお話をお伺いします。まずはオープンおめでとうございます。

森大地(以下、大地)ありがとうございます。先月20日にプレオープンイベントを行って、先週(5/31)無事オープンできました。

お二人による共同経営とのことですが、オープンのきっかけ、経緯から教えてください。

大地昨年(2016年)の春頃、後藤英(作曲家、ニューメディア・アーティスト)さんの仕事で、森(堅一)さんとお話したのがきっかけです。

森堅一(以下、堅一)そうそう、お互いレーベルをやっているので、「これから(の将来)どうしようか?」という、結構シリアスな話をしたような(笑)。

大地僕は以前から、「ヒソミネ」の都内バージョンをやりたいなと思っていて、でもやるからにはハイレベルなハコにしたいと思っていました。堅一さんは音に関してのプロフェッショナルなので、相談というか、話をしているうちに意気投合しました。

ヒソミネは、大地さんがやっている、いま勢いのある大宮(宮原駅)のライブハウスですね。

大地はい、そうです。ご紹介ありがとうございます。

堅一ちょうど、うちの会社でも次の事業について考えていた時期だったので、ふと(この話に)のってみようと。まあ直感で、なんですけど(笑)。

大地その後、何回か話して、具体的な予算も算出して本格的に動きだしました。

意気投合して順調に進んでいった感じ?

大地やるからには素晴らしいものを揃えようということで、音響機材一式で、当初の総予算分くらいかかってしまって(苦笑)。最終的に当初予定していた3、4倍のコストがかかってしまったという…。

堅一大地くんの実力を見込んで投資しました。なんだかんだ結構かかったよね(笑)。

最初からサウンドのクオリティを追求して設計したのですね。

堅一はい、ハイエンドで妥協のないスペックの機材で構築しました。その中でも全てのケーブルをアコースティックリバイブでワイヤリングしました。これはスケルトンからの設計だからこそなし得たことで、神楽音の音質の良さの肝になっています。

それにしても、短期間でよくぞこれだけの内装や機材が準備できましたね。

大地そこはやはり協力してくれた方たちのおかげです。メルグリム(mergrim)の光森貴久さん、店長の田中一臣君、その4人を核としてスタートしています。

いままでのライブハウスとは真逆の方向を目指している

神楽坂は本インタビューではじめてのエリアです。神楽坂を選んだ理由は?

大地半年以上かけて都内の物件を探していて、最終的に神楽坂か下北沢の二つに絞りました。どちらの物件も、家賃や広さはほぼ同じだったのですが。

決め手は?

大地神楽坂という「場所」ですかね。ヒソミネを立ち上げた時から、「これから新しい風が始まる」というワクワク感を出したくて「ライブハウスらしくない部分」をコンセプトに、いままでのライブハウスとは真逆の方向を目指しているので。

なるほど、下北沢は現在ライブハウスシーンの中心ともいえるエリアですよね。

大地もちろん下北沢も好きな街ですよ。でも、ライブハウス密集区ゆえに、「また新しいライブハウスができたのか」という程度に埋もれてしまうかなとも思いました。

「ライブハウスらしくない部分」という事について、もう少し詳しく教えてください。

大地一般的には、壁が黒くて、タバコの煙が蔓延して、チケットノルマがあって…、ライブハウスって、そんなイメージが強いですよね。

はい、ズバリ、ですね。そういうイメージを変えていきたい?

大地いいえ、それはそれでいいと思います。否定しているのではなく、音楽にさまざまな表現や手段があるように、ライブハウスもいろいろな種類があっていいかなと。これはヒソミネの立ち上げから同じ考えです。

ハイスペックな快適空間を実現していますが、チケットノルマもなく、経営的にはチャレンジでもありますよね。

大地そうですね。収入源に関しては、チケット代だけでなく、フード代、ドリンク代、などバランスよく売り上げられるよう心掛けています。

堅一それと、当初からマルチメディアで使える箱にしたいと話していました。夜のライブハウス、深夜のクラブ営業の他に、昼にはギャラリーやワークショップとしても利用できるので。作品展示向けのライトをあてても耐えうる内装美のライブハウスって、なかなかないと思いますよ。

内装のデザインはdownyの青木ロビンさんだそうですね。神保町の「三月の水」もロビンさんによるものだと聞きました。

大地そうなんです。物件が決まって、ロビンさんとすぐ打ち合わせをしました。コンセプトを共有しつつ、バーカウンター、キッチン、楽屋、ホール、それらを仕切る間取りなど入念に設計しました。キャパ的には仕切らないほうがいいのですが、人と人とのコミュニケーションを大切にしたかったので、バーカウンターとホールの仕切りはきっちりしました。

まさか自分が(ライブハウスを)やることになるなんて(笑)

続いて、お二人それぞれに現在にいたるまでの経緯をお伺いします。大地さんはAureoleでミュージシャンとして音楽好きには有名です。

大地ありがたいです。Aureoleがデビューしたのが28歳のときで10年ほど活動しました。昨年の末に解散して、今は「Temple of Kahn」という新しいバンドをやっています。実は初ライブが先日の神楽音プレオープンでした。

自分の作ったハコで、自分の新しいバンドのデビューライブですか!

大地はい、たまたま2つのプロジェクトが同時にスタートすることになってしまいました(笑)。今はそうやって音楽を作る側とサポートする側の両方に携わっていますが、以前はライブハウスをやろうなんて考えたことは一度もありませんでした。まさか自分が(ライブハウスを)やることになるなんて(笑)。

なぜライブハウスをやっているのでしょう(笑)、ぜひそこを教えてください。

大地まずはAureoleのセカンドアルバム(2010年)を、自分で立ち上げた「kilk records」というレーベルから出したのですが、それをきっかけに、良いアーティストを発掘して自分のレーベルから月1のペースで作品をリリースするようになりました。

毎月となると相当なリリース数ですね。

大地はい、当時はCDリリースだけで事業が成り立っていました。

2010年から、となると特にCD販売に関してはどんどん不況になっていく時期ですね…。

大地そうですね。レーベルを立ち上げて2年目くらいで、世の中的にも急激にCD(の売上枚数)が落ちて、このままでは1年後もレーベルを続けていられるのか? という…。

厳しい状況になってきた…。

大地このまま、つぶれるのを待っていてもしょうがいないので、あらたな業態にも進出しようと、音楽事務所かライブハウスのどちらかをやろうと考えました。結論として、音楽事務所経営を僕自身のアーティスト活動と兼任するのは難しいなと思いました。

具体的にはどのあたりが難しかった?

大地事務所を経営するというのは、ちょっと言い方が良くないですが、どうしても媚を売らなければならない時があるもので…。そこを僕が担いつつ、バンド活動とのブランディングを考えるのはかなり厳しいと思いました。

なるほど…、それでライブハウスを選択すると。しかしライブハウスは、最初の資金負担が大きいですよね。

大地そうですね。ちょうどクラウドファンディングのCAMPFIRE(キャンプファイヤー)が始まった頃で、それも活用しました。その頃、タワーレコードのインストアライブが増えてきたリ、小規模なスポットでアーティストをPRするような戦略が徐々に出てきたので、それなら「うちも行ける」と思って、仲間を募ってスタートしました。

それが「ヒソミネ」の誕生につながるのですね。ミュージシャンの熱のこもったライブハウスですよね。

大地そう思います。ヒソミネはまさに「音楽好き」が集まるライブハウスです。

未知の可能性、今を担う若い人たちのシーンを感じてみたい

ところで、話は大きく遡りますが、大地さんが音楽をはじめたきっかけは何だったのですか?

大地僕は中学まで野球をやっていて、プロ野球選手になるのが夢でした。それが、先輩の影響でBOØWYを聴いたのをきっかけに、大ファンになって、ギターを手にして、コピーして、洋楽を聞きはじめて、自分で作曲を始めて…、それからバンド活動して、芽が出ないままというか…(苦笑)。 

堅一いやいや、Aureoleが(笑)。

そうですよ(笑)。 森堅一さんと音楽の出会いは?

堅一僕も大地くんと同じで、BOØWYがきっかけです。でも、僕は解散するまで存在を知らなかった(笑)。チケットを取るのに電話回線がパンクしたらしい、っていう噂を聴いて、どれだけすごいバンドなのかと思って。それから初めてBOØWYのアルバムを聴いて、ギターを始めましたね。

伝説のLAST GIGS(解散コンサート)チケット予約の電話回線パンクですね。

堅一そこからは、ギタリストを目指して頑張って、だんだん仕事が取れるようにもなって。そんなこんなで、2011年にハーモニクス株式会社を立ち上げました。

自分で会社を立ち上げた経緯というのは?

堅一それまでに、制作の仕事などをもらっていて、結構な時間、スタジオで仕事をするようになっていたのでそのまま独立したという感じです。制作の仕事をしながら、その延長でレーベルをつくり、小規模ですがレコーディングスタジオを作りました。

プロミュージシャンからレーベル、スタジオ経営まで順調に進んできたようですね。

堅一しかし、さきほど、大地くんが言っていたのと同じで、業界状況、雲行きの怪しさは感じていました。そんな折、昨年に、神楽音の話が上がってきて、「未知の可能性、そして、今を担う若い人たちのシーンを感じてみたい」という気持ちで神楽音の共同経営に至っています。

それでは最後になりますが、神楽音からのメッセージをお二方にお願いします。

堅一ここ数カ月はオープン期間で、大物アーティストのブッキングが続いていますが、アマチュアバンドはもちろん、音楽をやっているすべての人が「憧れ」を持てるようなスペースにしたいと思っています。基本的にノルマはありません。観客にはもちろん、演者にもホスピタリティのある場所ですので、どんどんチャレンジして、良い環境で目一杯、音楽をやってほしいです。

大地今日は経営的な話も多くなりましたが、僕自身、あくまでバンド脳、音楽家脳でいることを心がけています。アーティストの「ツボ」を、アーティストにもお客さんにも共感してもらえる「かっこいいライブハウス」を作っていきます。このブランディングを保ちつつ、さらなる協力者とつながりたい。平たく言えば、いろいろな人に絡んでほしい。出演希望、ホールレンタル希望、思いもよらない使い方を希望の方などなど、まずはご連絡ください。

熱いメッセージを頂きました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽 BLOG / Twitter(取材日 2017年5月)

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神楽坂
神楽坂
粋なお江戸の坂のまち。毘沙門天をはじめとする歴史ある寺社、石畳の横丁、花街の風情を残しながら、伝統的な日本文化と現代的な新しさが合わさり、多くの文人の活躍の舞台となってきた。午前と午後で向きが変わる「逆転式一方通行」は日本で唯一。上り下りの通い坂、『神楽の音』が聴こえてくれば、路地裏の三毛も尾を揺らす。「神楽音/KGR(n)」は東西線「神楽坂駅」1出口から徒歩1分。
hisomine(ヒソミネ)
ヒソミネ
森大地が主宰するkilk recordsが宮原に2013年5月オープンさせたライブスペース。JR高崎線「宮原駅」東口から中山道を通って徒歩7分。「非ライブハウス」を掲げた運営スタイルで良質な音楽を発信し、新しい風の起点となっている。宮原駅前に「bekkan」、2017年5月東京・神楽坂に「神楽音/KGR(n)」をオープン。
bekkan
Bekkan
ヒソミネが運営するコミュニティカフェ。気軽に立ち寄れる憩いの場として、一般のお客さんにも音楽を楽しんでもらいたい、すばらしい音楽と出会ってほしいという想いのもと2016年4月オープン。毎月、入場無料の「bekkan音楽会」を開いている。宮原駅東口から徒歩2分。
アソルハーモニクス
アソルハーモニクス
音楽が生まれてからリスナーに届くまでの全てを担う音楽レーベルプロダクション・音楽制作スタジオ。徹底した高音質・ハイエンドな機材とホスピタリティに優れたスタジオ設計。メディアアート分野にも精通。2017年5月、キルク(ヒソミネ)とともに東京・神楽坂に新スペース「神楽音/KGR(n)」をOPENさせる。