LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.5

Shibuya Milkyway

渋谷ミルキーウェイ
Shibuya Milkywayについて
2010年の7月7日7時7分オープン。スタッフもみんな明るく元気で、ライブの打ち上げには店長やスタッフも一緒に盛り上がる「渋谷一アットホーム」なライブハウスでありながら、音響・照明などアーティストの要望に高いレベルで応じてくれる。熱いバンドのライブはもちろん、DJによるクラブミュージックのイベントなども開催。
Shibuya Milkywayのジャンル
3人いるブッキング担当が三人三様の音楽性で様々なジャンルのライブをブッキング。このあと登場の店長ボッタさんは、ポップス・ファンク・ブラックミュージックを、ブッキングマネージャーはロックンロールやラウドロックなどを得意にしており、時にはそれらのジャンルがクロスオーバーするなど幅広いジャンルのバンドがブッキングされている。
Shibuya Milkywayに出演しよう!
公式サイトのメールフォームからデモが視聴できるサイトなどを添えて連絡するのがベスト。バンドの音楽性や特徴にマッチしたイベントにブッキングしてくれる可能性も。直接店舗に持ち込んでもOKだそうだ。音響や照明などの演出にも高い技術を持ったスタッフがステージ作りをサポートしてくれる。
Shibuya Milkywayへのお問い合わせ
渋谷Live&BAR ミルキーウェイ 公式サイト
渋谷区宇田川町4-7 トウセン宇田川町ビル3F
TEL:03-6416-3227
渋谷ライブハウス Milkyway

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜Milkyway編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

ShibuyaMilkyway

ShibuyaMilkyway 店長 福田"ボッタ"勇輝 氏
@twitter / Facebook / BLOG

本日はよろしくお願いいたします。「ミルキーウェイ」という名前がかわいいですね!先ほどの受付のスタッフもとても可愛かったです(笑)そんなMilkywayの店長のボッタさんのプロフィールとMilkywayでおすすめのアーティストやイベントを教えて下さい。

ありがとうございます(笑)26歳くらいまでファンク、ポップ、ロック、レゲエを合わせたごちゃまぜなバンドでボーカルとして活動していました。そのあと3年ほど音楽から離れていたのですが、当時の店長(現在はアーティストのマネジメントをしている)に半ば強制的にMilkywayに引きこまれました(笑)

で、おすすめアーティストですが、ヒグチアイという女性のシンガーソングライターがいまして、Milkywayでも企画をやってくれたり、よく出演してくれます。「圧倒的な声」をホールに響かせ、「心に刺さる言葉」を感情のままに吐き出してくる。まぁとにかくライブを見てほしい素晴らしいアーティストです。

先日、渋谷O-WESTでの企画ライブを成功させたました。(※ボッタも制作として携わりました)今年からはソロでの弾き語りの他に Ba.山崎英明 (ex.School Food Punishment) / Dr.畑利樹(ex.東京事変)とのトリオ形態Dr.マシータ(ex BEAT CRUSADERS)とのデュオ形態等、様々な形態でライブを行っています。一番近い所だと9/24にもMilkywayに出演致しますので、是非チェックして頂きたいです!

また、BAGSYというROCKパーティーが夜から朝までぶっ通しでやるロックDJ&LIVEイベント『ClubBAGSY』を今月末にやります。これはかなり面白いです。来月はザ・キャプテンズというという素晴らしいバンドのイベントがあり、これもおすすめです。

「生の空気、バンドが紡ぎだすアンサンブルの芸術を感じる」という楽しみ方を何かしらの形で伝えていく。

盛りだくさんで楽しみです!さっそく突っ込んだお話をお伺いします。なかなか音楽業界自体は不況といわれていますが、ライブハウスの現場では盛り上がりを見せているとも聞いています。Milkywayの店長の立場から見て最近のライブハウスシーンはどんな感じでしょうか?

熱く語っていいですか(笑)ライブハウスは今も昔も人気のあるバンドや有名なアーティストがライブをすれば盛り上がりますし、ステージとの距離も近いので、音楽好きにとってはアーティストと身近に接することが出来る魅力的な場所であることには変わりません。

ただ、自分が10代の頃からライブハウスを経験してきて少し変わってきているのは、ライブハウスが「お目当てのバンドを見に来るだけの場所」になってきてしまっていると感じています。90年代〜2000年代頭くらいまではくらいまでは、ライブハウス自体に「あそこに行けば今日もきっとこんなのが聴けるはずだ」「ライブハウスに遊びにいこうぜ」みたいな空気があったんですよね。昔はもっとこう、ライブを見に来るだけじゃなく「遊び場」になっていたような雰囲気があったんですよ。何か楽しい事を探している若者のたまり場というか。特にお目当てのバンドがあるわけでもなく「何となく遊びに行ってみようか?」というのはもうほぼゼロになってしまいました。その辺は少し風景が変わったな〜と思いますけどね。

それと、最近はYouTubeでライブハウスのライブ映像も見れちゃったりするので、わざわざ見に行かなくても「ああ、こういうライブなんだ〜」で終わってしまうのですが、僕らとしては、いや、そうじゃないでしょうと、生の空気を知って、バンドが紡ぎだすアンサンブルの高揚感、芸術性を楽しむ感動を、何かしらの形で伝えていかなくてはなりません。

ライブハウスでその日たまたま観たバンドがすごく良くて、そこからハマっていくような流れができるといいですよね。そういった「ライブハウスに遊びに来る」という感覚がなくなってしまったのはなぜなんでしょうか?

ライブハウス側とアーティスト側の両方に原因があると思います。どちらも遊びに来てくれた人を「お客様」としてもてなす、エンターテインメントのサービスを提供するという意識が低くなってしまったんじゃないかと思うんですよね。ライブハウス側は、チケットもぎりの受付の対応や掃除が行き届いているかというレベルから「サービスってなんやねん」という見直しをしていかなければならないと思います。

アーティスト側は、ライブハウスに足を運んでくれることってすごい事で、チケットを買って、時間を割いて、交通費を割いて、それだけで3、4千円はかかっていることを理解して、その価値に見合う質の高いエンターテインメントを提供できているのか?ということを常に考えるべきです。演奏の上手い下手じゃなくて、エンターテインメントとしてちゃんと面白いものをみせられたのか?喜怒哀楽、なんでもいいんですよ。楽しかったでも哀しかったでもムカついたでも、何かしらの感動を観に来た人に与えることが出来たのか?という所を突き詰めていけば、良いライブができるはずなんですよ。アーティストはそういう所をもっとしっかりやらなきゃ駄目です。

ライブに来てくれるっていうのは、やっぱり楽しいからなんだと思うんですよ。それを忘れちゃいけない。お客さんが「また遊びに来たいよね」って思えるようなライブを作ることが大事。ライブハウスも飲食店などと同じ(サービス業)だと思います。

200ちょっとのキャパの所で、グダグダやってるようじゃあまり意味がないんです。もっと大きな所を目指してやっていかなきゃ。

ほんとその通りだと思います。今は楽器や機材もすぐに買えるし、曲も自分1人で全部作れたりして、音楽や演奏の質自体は上がっていると思うんですが?

質はすごい上がっていますね。技術は上がっているんですが、エンターテインメントの質が下がっている。最近、ニコニコ動画の歌い手さんとかのイベントやるんですけど、すごい動員力あるんですよね。お客さんめちゃくちゃ来るんです。なぜかというと今のバンドマンとかと発想が違うんですよね。さっき言った「観に来て面白いと思ってもらえることをやる」という単純なことをやるんですよ。だからお客さんも「うわぁ、超面白い!いつもニコニコ動画で見てるあの人がこんなことを〜!」みたいな感じで盛り上がる。ホント普通の女子高生とかも観に来ますからね。昔ならこういう女の子達はバンドを見に来てたはずなのに、いつの間にかそっちに行っちゃったかぁって感じがします。

おっしゃるように、魅せることへの意識が低い感じがするのはもったいな気がしますね。

そんな中で頑張っているバンドはもちろんいます。もっと頑張ってほしいなと思います。それを伝えていくのも僕達の仕事で、お店側として、アーティストがライブしやすい環境を作る、お客さんが観に来やすい環境を作る。プラス、やっぱりバンドのコンサルじゃないですけど、アマチュア・インディーズ・プロ問わず、良いバンドをたくさん見てきている中で、もっとこうした方がいいんじゃないか、こういう所でやるべきなんじゃないか、というアドバイスは絶対にしていかなくちゃいけないと思います。

僕は、バンド達がいつまでもうちでライブしてりゃいいとは思わない。さっさと上のランクに行かなきゃいけないんですよ。200ちょっとのキャパの所で、グタグタやってるようじゃあまり意味がないんです。いつまでに500キャパをソールドするとか、いつまでに1000キャパの箱でライブをするとか、そういうもっと大きな所を目指してやっていかなきゃ意味がなくて、君らが上に行けるように手助けするからさっさと売れて、それでも年に何回かMilkywayでもライブしてよね!って感じでできたら僕は一番良いなって思うんです。僕らハコの人間は目先の事ばかりに囚われてないで、上を目指すアーティストの応援をして行かないと結局自分達のビジネスも小さくなってしまうと僕は思ってます。

それでは最後にブレイクを目指しているバンドマン・アーティストや音楽業界を目指す若い人たちへのメッセージなどがあればお願いします。

いやぁ、ちょっと真面目に話し過ぎちゃいました(笑)実際は楽しいお兄さん的ポジションの僕なのでアーティスト、関係者の皆さんは気軽に飲みに誘って下さい(笑)Milkywayはアーティストと一緒にエンターテイメントの質を高めていく努力をします。お客さんにとって最高の思い出となる1日を作って行く為にです。ありがとうございました。

インタビュー Limo Hatano / MUSIC-MDATA編集部(取材日 2013年9月 )

インタビュー特集一覧(バックナンバー)

バンドメンバー募集のメンボネット ミュージックジョブネット
サウンドペディア
School Food Punishment
2004年に結成されたロック・ポップスバンド。透明感と力強さを併せ持つボーカルとロックテイストあるエレクトロポップサウンドが特徴。2012年解散までに5枚のオリジナルアルバムを発表(インディーズ・ミニを含む)
東京事変
2003年に椎名林檎を中心に結成されたロックバンド。2012年の解散まで「群青日和」「閃光少女」などテレビCMなどでも有名な作品などを多数発表。6枚のオリジナルアルバムをリリース。(ミニを含む)
BEAT CRUSADERS
My Space
1997年に当時レコード会社の社員だったヒダカトオルを中心に結成されたロックバンド。通称「ビークル」テレビや雑誌にはメンバー全員、モノクロコピーで作ったような自画像のお面を付けて出演していた。2010年9月に解散。
ザ・キャプテンズ
2001年に仙台で結成されたグループサウンズのバンド。2013年までに7枚のオリジナルアルバム、および1枚のカバーアルバムとベストアルバムを発表。 https://www.thecaptains.jp/
チケットもぎり
入場時にライブチケットをミシン目から切り離す動作を表し、ライブハウスやコンサート会場の入場口でチケットを確認する係の人や入り口受付の担当者を示す場合もある。
ニコニコ動画の歌い手さん
動画共有サイトのニコニコ動画内において「歌ってみた動画」しているボーカリストを示す。多くは人気曲のカラオケにあわせて歌唱するアマチュアボーカリストであるが、作詞・作曲・オケづくりまで一人でおこなうプロレベルのシンガーも存在する。