ライブやろうぜ! ステージファイル Vol.19

東高円寺二万電圧

東高円寺二万電圧
東高円寺二万電圧 について
言わずと知れたハードコア・パンク系ライブハウスの老舗。数多の猛者を輩出してきた二万電圧は、もはやハードコア・パンク系バンドの聖地と言っても過言ではない。1989年から高円寺パル商店街に店を構えていた(旧2000ボルト)が2009年のビル火災を期に翌2010年、東高円寺に移転。パンク魂をそのままに現在も多くのバンドたちが情熱を燃やすライブハウスとして君臨している。
二万電圧 へのお問い合わせ
東高円寺二万電圧 公式サイト
杉並区高円寺南1-7-23 L-GRAZIA東高円寺 B-1
ブッキング受付中。オールジャンルOK。コピーバンドは原則不可(イベントによってはOK)。
東高円寺二万電圧

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 東高円寺二万電圧編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

二万電圧店長の石田 貴洋氏(中) / ブッキングマネージャーの望月 拓氏(左)・笹森 健太郎氏(右)
東高円寺二万電圧公式ページ - Facebook - Twitter

本日はよろしくお願いします。「二万電圧」と言えばパンク・ハードコアの聖地として全国区で有名なハコです。以前は「高円寺20000V(ボルト)」という名称だったと思うのですが…。

石田高円寺パル商店街の方で20000Vという名前でやっていたんですが、そこのビルが5年前(2009年11月)に火災になっちゃって。その後一年間はライブハウスができる場所を探していて今の場所(東高円寺)を見つけた4年前(2010年10月)にオープンしました。

移転の際に店の名前も変えたのですね?

石田そうですね。20000Vって名前は、僕も大好きだった映画の『爆裂都市 BURST CITY』に出ていたライブハウスの名前から付けられたらしいのですが、会社が変わった際に「20000V」という表記が大人の事情により使えなくなっちゃったんですよ(笑)

大人の事情(笑)

石田でも、20000Vという名称で親しまれてきましたし、僕も20000V(にまんぼると)と呼びたかったので、苦肉の策で「二万電圧(にまんでんあつ)」という表記で『にまんぼると』と読ませています(笑)

旧20000V時代から店長されてたのですか?

石田はい、旧店舗時代から10年くらい店長をやってます。色々あって一時やめたりもしましたが(笑)20000V自体は1989年くらいから続いていて歴代の店長さんがいたようですが、僕が出入りを始めた当時はKIRIHITO早川俊介さんが店長をやってましたね。 そのころ僕は、映画の影響で20000Vに出入りするようになってたんです。

KIRIHITOの早川さんって、新大久保EARTHDOMの店長さんですよね?

石田もうやめてしまわれましたが、早川さんが新大久保EARTHDOMに移動するときに僕が20000Vの店長になったんです。早川さんとは長い間繋がってます。僕をこの世界に引き込んでくれた、いわば恩師ですね。

ジャンルは多様化しても根本はパンクの精神でやっている。

旧20000Vの頃からハードコア・パンクを中心にしたライブハウスだというイメージがありますが、それは今も変わらないですか?

石田根本的にはハードコア・パンクですね。前の店長の早川さんの時代からはノイズ・オルタナ系などもやるようになりましたね。

最近だと、多くのライブハウスがノンジャンルになってきましたよね?

石田二万電圧も歌ものやギターロックやってます。でも、精神の根本はパンクの精神でやっています。音楽ジャンルじゃなくてね、広い意味で、真っ直ぐに。

ステージからトイレの張り紙に至るまで店中がパンクな雰囲気なハコですもんね! そんなパンク魂を持ち続ける二万電圧さんから見て、現在のライブハウスを取り巻く環境はどのような感じでしょうか。

石田10年くらい前から比べれば確実に変化してますね。ネット等の影響もあると思いますが現場に足を運ぶお客さんは減りました。

ハードコアシーンでも減ってきましたか…。

石田以前は全体的にお客さんが入ってましたけど、今はライブや企画によってお客さんの入りに落差があります。受け皿が増えたせいもあるかと思います。

ライブハウスが増えたことでお客さんが分散してしまったんですね。

石田そうですね。でも、それは毎日どこかのライブハウスで楽しいことが起きている証拠だからイイ事です。「二万電圧」でもいいバンドや面白い企画の日はしっかりお客さんが入ります。

お客さんが来るのは有名なバンドに偏りますか?

石田インディーズでも動員のあるバンドはあります。何より、頑張ってるバンドにはお客さんが増えていきます。時代がどうだとかセールスがどうだとか、そんなこととは関係なく死ぬ気で頑張ってるバンドには結果が出る。それって最高ですよね。「二万電圧」はそういう面が露骨にでるライブハウスです。

それはバンドとしてはやりがいがありますね。

石田キャパもあんま大きくはないんで、すぐソールドアウトになりますから(笑)

スローガンは『PLAY LOUD KEEP CLEAN』。自分のケツを自分で拭ければ何してもいい。

二万電圧の混み混みの独特ステージは登竜門的な熱が味わえると思います。次に、二万電圧のライブハウスを運営する上でのモットーを教えて下さい。

石田『いつ来ても遊べる遊び場』でありたいですね。有名な人だろうが、昨日初めて楽器始めた人だろうが、金持ってようが、持って無かろうが、音楽が好きであれば、ここに来れば皆が楽しめる場所にしたい。

どのようなことをすればお客さんに楽しんでもらえるのでしょうか?

石田ライブハウスの楽しみ方とか遊び方って、誰かに教わるものでもなく自分で掴んでいくものだから、決めつけはしたくないんです。ただ、好きなようにやってもらう中でも、外で騒いだりとか、ゴミを片づけないとか…、そんな風に、はみ出した時には削ってきます。

『PLAY LOUD KEEP CLEAN』っていうスローガンを持ってるんです。遊びってマナーが大事じゃないですか? ステージでは過激にやるけど現場はクリーンにしようぜっ、てスタンスですね。

昔の厳しいお父さんみたいだ(笑)

石田でも、ウチに出てくれてるバンドの多くは結構ちゃんとしてるんです。超ハードで無法地帯になりそうなライブをしてるバンドでもステージ以外で無法地帯になることはほとんどないんですよね。たま〜に、くらい(笑)出たてのバンドも自然にそういった部分を学んでくれていると思います。

初めて出演したライブハウスで怖そうなハードコアの先輩たちのマナーがしっかりしていたら、それには逆らえないですしね。

石田ライブハウスって自分のケツを自分で拭ければだいたいは何してもいい場所だと思うんです。しめつけるとつまんないし。でも、はみ出しすぎてけじめとれないことをやっちゃうのは、楽しさじゃない。持ち込みの機材壊すのはいいけど、店の機材壊したら弁償ですよ(笑)そのレベルの話。そこが分かっていれば面白い場所ですよ。

結局はヒューマンパワー。人間力じゃないですかね。堅い話じゃないですよ? 音で踊るも良し、カッコいい人、可愛い子と出会って恋に落ちるのも良し、お酒を楽しむのも良し、もっと純粋に、それぞれが好きなように楽しめる空間でありたい。そんな場所、世の中に限られるじゃないですか。だから、どんなジャンルの人でも楽しめるように努力します。

こないだも突然、ひとりで日本を旅している外国人の方が来ていて。その日出演していたバンドさんと仲良くなって、海外に帰った今もメールで連絡取り合ってるらしいですよ。だからね、そういうことなんです。スローガンは『PLAY LOUD KEEP CLEAN』。そこだけです。

旧20000V時代に出会ったバンドが日本を代表するハードコアバンドに。その続きが「二万電圧」で見られる。

次にどんな時に『ライブハウスをやっていてよかった』と思うか教えて下さい。

石田駆け出しのころから見てたバンドが、つい最近になって幕張メッセでやったとかとか聞くと、自分が育てたとか、そんなんじゃないですけど、メッチャ嬉しいですよ。

幕張ですか!? それは嬉しいですね。ちなみにバンド名は?

石田ハードコアのTHINK AGAINというバンドです。

キャリアはどれくらいで?

石田今のバンド名になってからは5年くらいですね。前身バンドから数えると、20000V時代から出演してて、それこそもう10年以上になるかな。出会った頃はまだ10代でハードコアのオムツをしてたようなバンドなんです(笑)それが、ものすごく頑張って、名実ともに日本を代表するくらいのハードコアバンドになりましたからね。いまや尊敬してます。 そしてその同年代のシーンも盛り上がっているんですよ。みんな、旧20000Vの最期を知っているバンドばかり。そういう彼らの頑張りを見られたこと、そしてこれからも二万電圧でその続きを見られること、嬉しいですね。

やっぱり、そういう頑張りって、裏方として見ていても感動しますよね。

石田しますね〜。かつ、自分でもバンドやってるんで影響と刺激を受けますよね! バンドが巣立っていくってのは一番嬉しいです。

彼らはビッグになっても、ここ(二万電圧)でのライブが見れるのですか!?

石田勿論! 毎度大盛り上がりです。

二万電圧へ出演するバンドはどうやってブッキングするのでしょうか?

望月基本的には、募集をしてるので、持ち込みのものメインですね。今だとメールとかもありますから、その中から、お店の通常ブッキングに突っ込んでいきます。で、例えば、そのバンドが自主企画イベントなどをやると、普段ウチに出ていないバンドさんも出演しますから、そこからまた広がってたりもします。あと、僕ら三人ともバンドをしているので、各々が、いろんなところで知り合ったバンドがウチに出演してくれたりもします。

それでは、ライブハウスをやっていて『これはしんどいな』と思う時はどんな時でしょうか? というか、この質問が最後になりますので一言も発してない笹森さん、ぜひお願いします(笑)!

石田「店長のパワハラです!」って言っておけ(笑)

笹森いやいや、パワハラは受けてませんので(笑) そうですね…、まず、外付きって役があるんですけど、ライブハウスって楽しい場所だしライブのテンションのまま外に出て騒いでしまう気持ちもわかるんですが、それだと苦情が来てしまいますし、苦情が来るとライブハウスが存続出来なくっちゃうんです。 そんな人達に、騒がないように伝えるんですが、出演者の気持ちもわかるので、非常に歯痒い気持ちになりますね。

エネルギー渦巻くライブハウスで生で感じて欲しい。生じゃないと勿体無い。

楽しい空気に水差すような形になっちゃうのはつらいですね。石田さんや望月さんはどうでしょう?

石田お客さんが来てくれないときですね。カッコいいバンドいっぱい出演してるんだから、リスナーの人達も、ネットとかだけでなくて、もっとアンテナ張って現場に来いよ!っていう気持ちがあります。

あとはバンド側も、チケットノルマは出演料じゃないから。ちゃんとお客さんを呼べればギャラも出せる。いくら時代が厳しいとは言っても、結果が出たら出た分だけ、ライブハウスは応えますよ。だからそこを勘違いしないで欲しいな〜と思う時は多々あります。僕もバンドやってるから、バンドやイベンター側の気持ちはよく分かる。そういう気持ちの通じる箱は沢山あります。

とにかくお客さんにはエネルギー渦巻くライブハウスに実際足を運んで生で感じて欲しい。

(二万電圧はチケットノルマ以上100%バック。詳しくは公式ページへ※編集部)

現場って、熱量も感じ方もまったく違いますもんね。

石田ホントに! 生で体感しないと勿体無いですよ。『親とバンドはいつまでもあると思うな』って思いますよ(笑)

それ、サブカルの本に出来そうなキャッチだ(笑)! 使いましょう! ではラストは望月さん、お願いします。

望月今言ったこと、両方痛感します。外の問題もそうだし、面白い企画組んでもお客さんは来にくいし…。 まあ、来た人は楽しんでくれると思うんですが…。

便利になった分腰は重くなりましたからね… でも「とりあえずはライブハウス来てみろよ!って事ですよね!?

望月そう! 来てもらえば、普段の生活で味わえないこと体験ができるのもわかると思うし、実際、それでハマって急に通いだしてくれる人もいますから。

ライブウォーカーでも一人でも多くの音楽ファンが現場に足を運んでくれる事を熱望し応援していきます。本日はお忙しい中ありがとうございました。

石田&望月&笹森サンキューベイベー! 愛してまーす(笑)

インタビュー&ライター 浅井陽 BLOG / Twitter(取材日 2014年11月)

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爆裂都市 BURST CITY
1982年公開の石井岳龍(聰亙)監督の映画。主演は陣内孝則。スターリン、ロッカーズ&ルースターズ、町田町蔵等のパンクバンド・ロッカーが出演。当時はアンダーグラウンドの伝説的なバンドのライブが映像で見ることが出来るだけでも貴重な映画で、パンクのエネルギーと怒り・フラストレーションが爆裂するライブシーンと暴力と疾走の果ての絶叫に熱いものが込み上げる。映画の舞台となる近未来の街に二万電圧の名称元となった「Live Spot 20000V」というライブハウスが登場する。
KIRIHITO
早川俊介(ドラム・ボーカル)竹久圏(ギター・ボーカル他)のユニット。一度見たら忘れることが出来ない独特の世界観とメッセージが込もるステージでノイズ・オルタナティブ系のアンダーグラウンドシーンでカルト的な支持を集める。5枚のオリジナルアルバムを発表。二万電圧でもライブを見ることが出来る。
KIRIHITO公式サイト kirihito.com
新大久保EARTHDOM
都内を代表するハードコア・パンク・ノイズ・オルタナティブ系のハコ。多くのエクストリーム系ミュージックのバンドの活動拠点となっており、300人超級のキャパで大御所アーティストのギグやイベントも頻繁に行われる。
新大久保EARTHDOM
THINK AGAIN
2008年に結成。3ピース構成で3人がスクリームを担当するメッセージが突き刺さる。自主レーベルでのリリースや海外ツアーなどの着実な活動で東京を代表するハードコアバンドの一つ。2014年の「SATANIC CARNIVAL'14」で幕張メッセ9-11ホールのステージに立つ。
THINK AGAIN
ライブハウスの外て騒ぐ問題
ライブハウスに係る人間(バンド・お客さん)が、主にライブ終了後にライブハウスのエントランス付近あるいは向かいの駐車場といったスペースでたむろす行為は古今東西ご法度である。ライブ出演者や関係者が打ち上げ待ちなどで無意識のうちにたむろしてしまう場合もあるので注意したい。ライブハウスの外はマンションなどの住宅エリアである場合も多く、騒がないまでもその場で立ち話をするだけでも迷惑になる可能性は極めて高い。ライブ後の興奮を共有する場所(ファミレスや居酒屋など)を予め決めてライブ終了後は早々に場所を移動しよう。