ライブやろうぜ! ステージファイル Vol.13

吉祥寺 Planet K

吉祥寺Planet K の歴史

1999年2月にON-AIRの系列店『ON-AIR  Planet K』としてスタートその後独立。他店ON-AIR系列も独立しO-eastやO-westといったO-GROUPを経て現在のTSUTAYA O-GROUPとなるが、Planet kは『吉祥寺Planet K』として単体で独立し現在に至る。只今15周年記念イベントを一か月間敢行中。 出演希望は応相談。メールまたはTELにて受付。

吉祥寺Planet K お問い合わせ
吉祥寺Planet K 公式ページ
武蔵野市吉祥寺本町1-8-10 八番館ビルB1
TEL : 0422-21-7767/ FAX : 0422-21-8838

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜吉祥寺Planet K 編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

吉祥寺Planet K 店長 福原和樹 氏

本日は吉祥寺Planet K店長の福原さんにお話を伺います。吉祥寺と言えば“住みたい街No.1”にも選ばれてる街ですが、Planet Kには、どのようなミュージシャンが出演されていますか?

時代時代で流行ったアーティストさんは多く出てもらってます。演者のやりたいことがあれば、ジャンルだけでなく音楽という括りにもこだわらず色々な人に出てもらっています。芝居であったりお笑いであったり幅広くやってますよ。

今現在はジャンルに拘らないライブハウスも多数ありますが、その土地土地で色が違っていると思います。高円寺はブルージーな色が出ますし、三軒茶屋や新宿はコアな色が出やすかったり。福原さんにとって吉祥寺はどういった色があると思いますか?

吉祥寺は昔からジャズやソウルが盛んで、SOMETIMEさんのようなジャズ喫茶があったり、その後SILVER ELEPHANTさん、曼荼羅さんのようなフォークミュージックなライブハウスが出来たりと時代とともに変化はしますが、基本的には雑食なんだと思います。若者だけが集まるわけでもなく、昔からあるものとすごく新しいものの融合する街だと思います。

新しいものをじんわり吸収していく街ですよね。そんな吉祥寺でライブハウスをやってきて、福原さんにとって今現在のライブハウスシーンはどのように映りますか?

まず第一に、ライブハウスが増えてきてるのにバンドの数は減ってるんです。昔はライブハウスが昼間にオーディションをして、良い人材を夜の部に入れてたり、メジャーアーティストのオープニングアクトなどに突っ込んだしていたんですが、今はそういう流れは全くないですね。バンドがライブハウスを選ぶ時代なんでしょうね。 

確かに反比例してライブハウスが増えてますよね!? なぜだろう(笑)?

七不思議の一つです(笑)。自分は一か月のブッキングスケジュールもきりきり舞いでやっているので、楽な仕事でないのはわかってるつもりです。なので、なぜ増えるのかは謎ですね。

昔はライブハウスが少なかったから、各バンドがホームになるライブハウスを持っていました。特に地方のバンドは、東京から良いバンドが来たときはライブでブッキングしてもらって、その代り事務所にプレゼンしてもらったりと、バンドマンと事務所が二人三脚で動いてたんですが、今はそういう苦労もなくライブハウスに出られる時代になったのかなと。そのかわり、若いバンドほどホームがなくなってしまって、ただ呼ばれたら出演するって感じです。

バンドにとって競う現場が少なくなったのは、ある意味かわいそうですね。

そうですね。なので、少しでも今言ったようなチャンスがあるバンドには、不定期ながらも、僕の知るコネクションでプロダクションやレーベルの人を招待してプレゼンライブを出来るようにしてます。

ローテーションでライブスケジュールを回すだけだと、お客さんもバンドも“また同じバンドかよ”ってなっちゃいますけど、同じ熱量を持ったバンド同士を集めると対決にもなりますし、そういう現場に関係者を呼ぶとピリッとしたライブになるので、変化やメリハリを作って目指すとこに一緒に向かえたら嬉しいです。

『何か自分のプラスになるの? 儲かるの?』など言われますけど、ただこういう裏方作業が好きでやっているだけです。

関係者というのはすべて福原さんが呼ぶのですか? 実質ボランティアになりますよね?

悪く言えばおせっかいです(笑)。『何か自分のプラスになるの? 儲かるの?』など言われますけど、全くそういうのはなく、ただこういう裏方作業が好きでやってるだけです。バンドにとっても、すぐにデビューとまでにはいかなくても、アドバイスをもらったりと、バンドのプラスになればといいかなと思ってます。そして、自分の推してるバンドがどう見られてるかという“自分の成績表”にもなるじゃないですか!?

レーベルやプロダクションの要望などもありますか?

ありますね。レーベルによって違いますが、10代限定であったり、シンガーソングライターがいいとか色々あります。そのニーズ合わせて『じゃあ、こんなバンドはどうですか?』とセッティングするのは楽しいですよ。レーベルやプロダクションの方も色んなライブハウスで観てるでしょうけど、もしウチを見てくれた時は、他のライブハウスにはこんなイベントないんじゃないかな!?っていうイベントやバンドを用意してるつもりです。

例えばどのようなイベントを?

高校生だけの弾き語りイベントや、高校生バンドフェスなどですね。色んな学祭に行って、オリジナル曲をやってるバンドを見つけて声掛けます。体育館や中庭でやってるんですが面白いんですよ。父兄のような気持ちで観たあとに、軽音部の部長と仲良くなったりと(笑)。

学祭巡りしてるんですか(笑)!? 女子校とか入れないですよね?

女子校は入れないです! そういう時は、女子校の軽音の子と交流を図って、成蹊高校や法政高校などの代表を集めてからPlanet Kでイベントをやるんです。そうすると自然に高校や大学の軽音部や学祭の主催と交流できるので、その中から良いバンドを見つけてウチでライブをしてもらってます。

そこまでやるって、ライブハウススタッフの動きじゃないですよね!? 元営業マンの匂いがします(笑)。

いやいや、普通に売れないバンドマンやってただけですよ(笑)。まあ、あとは一年間ラジオのパーソナリティーをやっていたのと、月刊DeView(デビュー)というオーディション雑誌の編集部でバイトしていました。そこで裏方の仕事に興味をもって、いつしか『前に出るのは限界あるけど、裏方なら一生やれるなあ』と思って、その後Planet Kに入ったんです。売り出したりとか裏方の仕事が好きなんですよね。昼間はスーツ着てTV局やラジオ局まわったり、昨年レーベル(Low-Fi Records)まで作っちゃったり…(笑)。

※ 編)吉祥寺Planet Kが設立したレーベル Low-Fi Records公式サイト

まさにD.I.Yですね。

やろうと思うと止まらないんですよね。過去にも淡路島で野外フェス(PLANET A CARNIVAL)とかもやりました。100人いたら100人が反対するようなイベントだったんですけどね(笑)。今って、色んなとこでフェスやってるじゃないですか? もうどうしてもやりたくって、会社の人間丸め込んだり、色んな人間に騙されたりしながらやりましたよ(笑)。

野外フェスはどうでした?

内部事情はいろいろありますが、見た目としてはうまくいきましたよ。取材も沢山来ましたし、テレビ局も特集を組んでくれたり。まあ、見切り発車なんですけどね(笑)。

何かを削って動いてるほうが『こんだけ大変な思いしてるんだから一個でも仕事とってきてやろう!』って気持ちになるんです。

イベンターは見切り発車の人の方が向いてると言いますよね。思ったら即始めちゃって、後から方法考えるってタイプ(笑)。でもフェスレベルのイベント立ち上げるって、半端ないプレッシャーじゃないですか?

精神的にMなのかもしれませんね(笑)。もちろん失敗も沢山あるし、バンドさんに迷惑かけてしまったりもしますけど、それでも色んな人が協力してくれて集まってくれるので、これは恩返ししないといけないって思いますよね。…見切り発車の後に(笑)。

例えば『これだけの時間とお金をあげるから何か作ってくれ』と言われるより、時間のない中を切り裂いてやってる方がプラスになるって思うんですよ。余裕を頂くより、寝る時間を惜しむなり、何かを削って動いてるほうが『こんだけ大変な思いしてるんだから一個でも仕事とってきてやろう!』って気持ちになるんです。

…ドMですね(笑)。

究極のドMかもしれません(笑)。『もう無理!』って時に何か生まれたりするじゃないですか!? 僕自身『これは死んだ方が楽かもしれない』ってことも何度かあったんですよね。淡路島の時もそうですし、どんな顔して帰ってこようとかと思ってしまう事も多々ありました。でもなんとか形にしないといけないですし、形に出来なかったときは、次にもっと楽しい事や面白い事でバンドにお返ししないといけないと思っています。

かっこよすぎ(笑)。

言い出しっぺですからね(笑)。他にも、吉祥寺のライブハウス四店舗(Planet KSILVER ELEPHANTSHUFFLEWARP)で、吉祥寺INDEPENDENCE DAYというイベントを五年前から始めたのですが、それも僕が言い出しっぺでして、ライブハウスの店長さんたちを電話で呼び出して、飲みながら『こんなイベントやらへん?』と口説いたりと、みんな仕事あるのに巻き込んでしまったり(笑)。 

面白い仕掛けや企画の影には、金銭面も工面しないと遂行できないというシビアな現実もあると思います。

そうですね、確かに面倒な金勘定の話も沢山出ますけど、吉祥寺INDEPENDENCE DAYのときは、とりあえず第一回目のイベントを終えてからスタッフの皆さんと話すようにしました。イベント時期には、戦後最大級の台風が来たりと悲惨な時もありましたけど、みんな一致団結してましたし、何年もかけて“お金の問題じゃない”という空気が作られてきましたしね。最初なんてスポンサーなんて付きませんから、各店舗のスタッフが自腹切って資金作ったんですよ。少ない給料の中から少しずつ貯めて、4店舗(Planet Kの他、SILVER ELEPHANT吉祥寺SHUFFLE吉祥寺WARP)で20万円集めてイベント資金にしたんです。

吉祥寺INDEPENDENCE DAY公式サイト

ここ(Planet K)で育ったバンドが成功したって自慢話の一つでも出来たらいいかなって思っています。

その裏方の努力を、こっそりバンドマンに教えてあげたいです。きっとバンドマンにも励みになるんじゃないですかね。それにしても己を追い込みますね(笑)? 生き甲斐があってこその動き方かと。

照明やPAは手に職つけてますけど、ブッキングや店長はこういう業界を引退すると何も残らないんですよね。Planet Kという看板が無かったらレーベルさんとも繋がりは無くなりますし、辞めたら残るものはバンドとの繋がりしかないんです。何十年か経って、扱っていたバンドが武道館でやれるくらい成功してても繋がれてたら嬉しいですね。どのバンドが成功しても僕にお金なんて入ってきませんが、ここで育ったバンドが成功したって自慢話の一つでも出来たらいいかなって思ってます(笑)。

しかし、これだけ全ての作業に熱量が入っていると、さすがに疲れ果てたりする時もありませんか?

疲れますよ。でも、今日ここに出演するGAOさんやTIMESLIPさんJUN SKYWALKER(S)さんなど、自分の青春時代に聴いてたバンドさんを集めて、ここでライブをしていただくと心が浄化されます。去年もJUN SKY WALKER(S)さんが出てくれたし、今月二日後にはThe Birthdayも出てくれるし、武道館クラスのバンドが僕の企画書でPlanet K出てくれるとスッと気持ちが楽になるというか、『やっぱり20年クラスのミュージシャンは違うなあ』と刺激になるんですよね。若返りの秘訣です(笑)。

憧れていた武道館クラスのバンドが自分のライブハウスでやってくれるって感激ですね。しかし、音楽の疲れを音楽で癒すって、まさしく“むかえ酒”ですね(笑)。

そうかもしれない! それ次から使わせてもらいます(笑)!

何かを学ぶとか、何かを経験するとか、自分のメンタルを鍛える面では(ライブハウスは)最適な場所。

自分のためとは言えども、次から次へと身を削って企画営業してますが、よくビジネス脳に傾きませんね?

基本は助け合いだと思ってるんですよ。淡路島のド田舎育ちなので、地域の人と仲良くなっておくと何かあった時に助け合えると思ってます。ぶっちゃけ、お金は大好きですよ。ただ、あんまり前面にその部分を出すと失敗する世界だし、それは稼ぎ専門の仕事なってしまうので、それなら僕じゃない方がいいと思います。ガッポリ稼いだらこの仕事辞めちゃうかもしれませんけどね(笑)。

いやあ、話を聞いてる分には、稼いでもまた音楽に使うと思いますよ(笑)。儲けていても不幸な人はいますから。今この時点を楽しめているのは、絶対に向いてるんですよ。

そうなんですかね? 今時点で儲けてないので向いてるかどうかは疑問ですが、楽しんだもの勝ちかなとは思ってます。ライブハウスって楽しかったらバンドは帰ってくるものなので、もしバンドがいなくなるなら、それは自分に問題があったんじゃないかなと考えるんです。例えば彼女に浮気されたとしても、自分に問題があったんじゃないかって考えちゃう性格なので、バンドが離れたときは何かいいヒントをもらえるチャンスだと思うんですよ。

どこまでも“ドM”なんですね。でも、音楽業界は普通じゃないし、お金が回ってる世界ではない訳ですから、それくらいのスタンスでないと生き残れないかもですね。

そうですね。儲けようなんて思ったらライブハウス作っちゃいけないですよ。金稼ぎたいならライブハウスでバイトもするべきじゃないと思いますが、何かを学ぶとか、何かを経験するとか、自分のメンタルを鍛える面では(ライブハウスは)最適な場所かも知れませんね。

インタビュー&ライター 浅井陽 BLOG / Twitter(取材日 2014年2月 )

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吉祥寺(武蔵野市)
吉祥寺
都心から距離のある場所ながら「学生の住みたい街ランキング」等で常に上位にランクインされ注目される稀有なエリア。駅周辺は大型のショッピング施設などが揃い都心と遜色ない利便性がある一方、ライブハウス、ジャズ喫茶、演劇小屋といったサブカルチャー発信地としての文化も根付いている。あらゆる意味で注目されている街である。
月刊De☆View
1983年に勁文社より創刊。女優、モデル、歌手、アイドル、タレントなどで芸能界デビューを目指す人向けの情報雑誌。当時は業界としてもデビューやオーディション情報の発信場所として貴重な媒体だったが、2002年に勁文社が倒産。その後、オリコン・エンタテインメントが刊行を引き継ぐ。最近はアイドルブームの影響を受けながらより若年層向けな芸能総合情報誌として毎月刊行している。
PLANET A CARNIVAL
2008年のPLANET K主催のイベント。店長の福原氏の故郷である淡路島(兵庫県)が活気づくようなイベントを企画したいという思いから実現したもの。フラワーカンパニーズ、SHERBETS、The Birth Day、YO-KING、うつみようこ、ガガガSP、GO!GO!7188らが出演。
吉祥寺INDEPENDENCE DAY
吉祥寺の主要ライブハウス4店舗による共同イベント。4開場同時に開催され往来自由なチケットや、スタンプラリーなどが企画される。2014年9月に第6回の開催が予定されている。詳細はインタビュー記事参照。
公式サイト id4-k.com
GAO
山口県徳山市(現・周南市)出身の女性シンガーソングライター。1991年デビュー。1992年に発表した「サヨナラ」はミリオンセラーを獲得。切ないメッセージを力強いボーカルで歌い上げた名曲は時代を超えて歌われ続ける代表曲となっている。少年のようなルックスとハスキーボイスが特徴で根強い支持を集め、現在もよりハードで美しくパワーアップした歌声を聴くことができる。これまでに、11枚のシングル、16枚のアルバムを発表。
GAO 公式サイト
TIMESLIP
近藤金吾を中心に井澤雄逸、近藤泰次、冨澤裕之で結成。1996年メジャーデビュー。井澤雄逸の脱退により3ピースバンドに編成を変え活動。2002年には“青森NIGHT 2002” でのセッション曲「青と森」を「佐藤竹善×坂本サトル×TIMESLIP-RENDEZVOUS」名義で青森限定で発売し、話題を集めた。15枚のシングル、9枚のアルバムを発表。
TIMESLIP 公式サイト
JUN SKY WALKER(S)
1980年、宮田和弥(Vo)、森純太(G)、伊藤毅(B)、小林雅之(Dr)で結成。ホコ天でのライブやインディーズでの作品リリースなどバンド自らが集客力をもって活動基盤とするバンド活動の王道スタイルを確立(当時はレコード会社が宣伝等でバンドやアーティストを売り出す傾向も目立ち始めていた)宮田和弥のシンプルで力強いメッセージをポップに歌い上げるボーカルや森純太のオクターブ奏法によるソロサウンド、パンクシャツとラバーソールにジャンパー等の上着をカジュアルに着こなすファッションはロックバンドのイメージを明るくした転換点とも言える。楽器の演奏パートに無駄に難解なフレーズを排除したシンプルなバンドアレンジは多数のコピーバンドを生むきっかけとなり、のちのバンドシーンに与えた影響は計り知れない。 1997年キャプテンレコードからミニアルバムJ(S)Wをリリース。1988年トイズファクトリーより「全部このままで」でメジャーデビュー。1997年10枚目のアルバム「EXIT」をリリース、解散。2007年に再結成。2014年に25周年ライブを日本武道館で開催した。