LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.105

下北沢 440

下北沢440 について
2002年、「CLUB251」上階の1Fにオープンしたオープンカフェテラスが目印のライブカフェ&バー。アコースティックや弾き語りのシーティングライブを中心とした「生音」重視のステージで、有名プロミュージシャンの極上サウンドを、おいしいフード&ドリンクとともにゆったりと楽しめる。出演はアコースティックスタイルをメインにバンド形式のステージも可能。店名はコンサートピッチの「A=440Hz」が由来。下北沢駅南西口から徒歩約5分、代沢通り沿い。
下北沢440 へのお問い合わせ
下北沢440 公式サイト
世田谷区代沢5-29-15 SYビル1F
TEL:03-3422-9440(16:00〜)
ブッキン・イベント受付中(詳細

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 下北沢440 編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

下北沢440店長 平林良浩氏

アーティストの息づかいまで聴こえる、リアルなサウンド

本日は、下北沢のライブバー440(フォー・フォーティー)店長の平林良浩さんにお話をお伺いします。まずは、オープンの年月と経緯をおしえてください。

2002年5月、ライブハウスCLUB251の系列店として、アコースティックや弾き語りをメインに活動しているアーティスト向けの箱というコンセプトでオープンしました。

CLUB251は都内を代表する歴史ある箱のひとつで、多くの有名ミュージシャンが出演されています。

はい、ありがたいことに当店にも、フジロックに出ているような大御所から若い方まで、プロで活動されている方を中心に多くのミュージシャンにご出演いただいています。

連日お客さんが並んでいて盛り上がっていますね。

ありがとうございます。先日も、dipのヤマジカズヒデさんやルースターズの花田裕之さん、井上富雄さんに出演いただき、昔をよく知るお客さまにもご来店いただいています。

平林さんが店長になられたのはいつ頃ですか?

2012年からホールスタッフとして入り、店長を任されて約1年です。

となると、これからますます新しい企画が生まれてきそうです。

はい、基本的にイベント制作は任されていますので、これまでに出ていただいている方を大切にしつつ、新しい世代のおもしろい人たちにもどんどん出演していただきたいですね。アーティストにとって「いろんなことを試せる場所」でありたいと思っています。

440のサウンドの特徴についておしえてください。

アコースティックの生音が、そのまま大きくなったようなニュアンスです。ステージとお客さまの距離が近く、息づかいまで聴こえる、リアルなサウンドを楽しんでいただけるスタイルです。時には、マイクなしの「生声・生ギター」で1、2曲を演奏される方もいらっしゃいます。

通りに面した「オープンカフェスタイル」というのも個性的ですね。

いわゆるライブハウスというと、地下の薄暗いイメージがあると思いますが、440にはイスとテーブルがあり、お酒はもちろん、お食事もできるので、リラックスしながらライブを楽しんでいただけます。

ライブスペースが前面ガラス張りですが、周囲への音漏れ問題は大丈夫ですか?

窓を二重にして防音効果を高めています。人通りや店舗の多いエリアですし、下北沢だから成り立っているスタイルかもしれませんね。

440に出演したい、と言ってくださる方との出会いを大事に

CLUB251とともに下北沢になくてはならないライブハウス&バーとなりましたね。

CLUB251、440につづいて「BAR?CCO」というライブバーもオープンしていて、オーナー自身は、さらに新しいお店をつくりたいという展望があるそうです。

ところで、プロのアーティスト出演が多い440ですが、アマチュアでも出演できるのですか?

もちろんです。お店の性質上、ある程度、内容や演奏力は見させていただきますが、プロに限定しているわけではありません。むしろ「440に出演したい!」と言ってくださる方との出会いを大事にしていきたいと考えていますので、ぜひご連絡いただきたいです。

ではつづいて、平林さんのご出身、音楽との出会いをおしえてください。

愛知県出身です。親の話によれば、物心が付くまえから、家にあったレコードを自分でかけてずっと聴いていたそうです。

幼少期から身近に音楽がある環境だったのですね。

そうですね、中学に入ってからはLUNA SEA、X JAPAN、HIDEにハマりまして、ギターをはじめてバンドも組んで活動していました。

ビジュアル系ですね。高校卒業後の進路はどうされたのですか?

バンドでオリジナル曲をつくっているうちに、作曲に興味がでてきて、愛知県立芸術大学の音楽学部に進学して作曲を専攻しました。もちろん、そこで学ぶのはクラシックだったのですが。

愛知県芸といえば、名門ですよね。在学中も演奏活動をされていたのですか?

クラシックの作曲と並行してバンド活動を続けていました。大学卒業後は名古屋で就職し、3年ほど勤めたあと、東京に転勤という形で上京してきました。

上京当時、すでに就職されていたのですね。そこから何か変化が?

下北沢に引っ越してきて、仕事を続けていましたが、もっと音楽的な環境にどっぷり浸かりたいという気持ちが日に日に高まってきていました。

「ライブを観る」を、もっと身近でカジュアルに

下北沢はライブハウスがひしめく音楽の街。440にはどのような縁で?

散歩がてら440の前を通ったとき、元「19」の岩瀬敬吾さんのライブが行われていて、外からその様子が見えました。こんなオープンな場所に普通に有名人がいる!と(笑)。そのときは、まさかここの店長になるとは想像もしていませんでしたけど。

地下のライブハウスだと店内は見えませんからね。440に入ることになったきっかけは?

僕の好きなシンガーソングライターの、おおはた雄一さんのライブを440に見に来たときですかね。深夜に生音セッションをするイベントで、ハナレグミさんやコトリンゴさんも一緒に出演されていて、東京のライブバーにはこんなおもしろいイベントがあるのだ、と感激して、この業界で仕事をしたいと思いました。

地元の名古屋では、そのようなイベントを目にする機会はあまりなかった?

そうですね。今の立場になって考えれば、名古屋で同じことを実現しようとすると、いろいろと準備がかかりますからすぐには難しい面があると思います。それに、たまたま遊びに来ていたミュージシャン仲間が飛び入りで参加してセッションが始まる、なんてことも、プロミュージシャンがたくさん集まる東京ならではですよね。

平林さんが求めていた、生き生きとした音楽環境がここにあった。それで440に入る決断をされたのですね。

はい、最初はホールスタッフとして、接客したり、ドリンクやお料理を運んだり、そんなことから始まりました。440に入る時からイベント制作には興味があったので、慣れてきてからは、少しずつイベントを組ませてもらうようになって、現在にいたります。

窓越しのストリートから始まった人生の新楽章、これからもすてきな音楽を届けてください!それでは最後に440からメッセージをおねがいします。

一流ミュージシャンの演奏が聴けるライブハウスとしてのスタイルを残しつつ、カジュアルな雰囲気を大切に、はじめての方でも安心して楽しめるお店です。お仕事帰り、ちょっと時間があったら、ぜひ気軽にお立ち寄りください。「ライブを観る」ということが、もっと身近なものになってくれたらうれしいですね。

ライブバー440を通して、胸ときめく音楽体験に出会ってほしいですね。本日はありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2019年7月)

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下北沢(世田谷区)
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