イベント会場の魅力探索ガイド Vol.23

すみだトリフォニーホール

オーケストラの住む、クラシック音楽専門ホール

トリフォニー(triphony)とは3つの音が響くこと。市民とアーティスト、ホールが「三位一体」となって音楽文化を創造、墨田区が掲げる「音楽都市づくり」の活動拠点。

日本初のオーケストラが住むホールとして新日本フィルハーモニー交響楽団とフランチャイズ提携。1997年10月、小澤征爾指揮「マーラー交響曲第3番」で開幕。

パイプオルガンを備えた3層1,801席の大ホール、252席の小ホール、大小3つの練習室をもつ。

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東京副都心に、平和を祈るパイプオルガンが響く

すみだトリフォニーホールのパイプオルガンは、18世紀ドイツ・バロック様式のオルガンを礎とするドレスデンのイェームリッヒ社製。

4,735本のパイプと66のストップ、3段の手鍵盤と足鍵盤をもち、ソロはもちろんオーケストラの響きとも調和する。

裏側には数千本のパイプと複雑なメカニズムをもつ送風装置が収められていて、鍵盤を押すと風箱(かざばこ)から送り込まれた空気によりパイプが音を発する。

星のストップ、ツインベルシュテルン(Zimbelstern)のレバーを引くと、オルガン中央に輝く「星」が小さな鐘を鳴らしながらきらきらと回転。

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演奏しやすく、楽器の音色がクリアに聴こえるホール

オーケストラと積極的な意見交換で、音響改善のための微調整・チューニングを重ね、楽器の音色がクリアに聴こえる演奏環境を実現。演奏家からの評価も高い。

シューボックス型、オープンステージ形式の大ホールは1階1,040席、2階233席、3階528席。両翼からステージに向かって伸びるサイドバルコニー(1列配列)の直線ラインが美しく、天井が床とほぼ平行した傾斜角度をもつ。

線路に近いことから、電車走行時の防振・遮音対策にも多くの工夫が注がれた。2014年リニューアル時に、3階席の通路側座席に国内初導入の「手掛け棒」を設置。

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「音」をテーマとしたアート作品が彩るトリフォニー 

すみだトリフォニーホールは、建物の随所に展示されたパブリック・アートも見どころ。

  • 【A】出演者が必ず通る下手袖のアーティストロビーには、画家・横尾忠則による壁画
  • 【B】大ホールロビーには「触れられるアート」として、造形作家・豊嶋敦史のオブジェ
  • 【C】『花』の歌い出し(〜春のうららの隅田川〜)とANGEL TIMEを刻む姿見
  • 【D】カラフルな墨流し模様に扉の番号を記したグラフィック作品
  • 【E】楽屋ロビーには、すみだマイスターの組紐を作品素材としたコンテンポラリーアート
  • 【F】桜が舞い散る隅田川をイメージした墨流し模様のカーペットは、下の階に行くほど水面に浮かぶ花びらが多くなる

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すみだマイスター“匠の技”が華を添える楽屋エリア

指揮者やソリスト、コンサートマスターなどが使う主要楽屋は舞台と同一フロアに配置。なかでも、マエストロが使う201楽屋は下手袖舞台のいちばん近くに配置され、革張りのソファーとシャワールーム、YAMAHAグランドピアノ付き。

楽屋口のある1Fには大人数向け101〜104楽屋、小ホールがある地下にB101〜B106楽屋(うち大小ホール共同1、小ホール専用2)。大・小ホールあわせて17の楽屋をもつ。

  • 【G】すみだマイスターの制作した木彫を作品素材に「光」「水」「花」を表したレリーフ(2F楽屋の扉)

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錦おりなす隅田川を映す、空間まるごとアートなロビー

大ホールロビーは、吹き抜けの空間全体が共鳴しあう大きなアート。象徴的に置かれた等身大のピアニスト像はホールスタッフや一部のファンからは「舟越さん」と親しみを込めて呼ばれている。

公演時は3Fホワイエにて葛飾北斎生誕地にちなんだ「北斎カフェ」がオープン。ドビュッシーの交響詩「海」のスコア表紙画にもなった富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」をパッケージにしたサンドイッチ、トーキョーサイダーなど下町オリジナルメニューも楽しみのひとつ。

  • 【H】彫刻家・舟越桂の作品『水のソナタ』

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新しい音楽体験を創りだす、すみだトリフォニーホール

錦糸町駅北口から徒歩5分。北斎通りに面した建物は地上8F・地下3F。ホールへ向かう道中、ペデストリアンデッキからタワービュー通りのスカイツリーを眺望できる。

  • 【I】エントランスのシンボル石彫は彫刻家・石井厚生の作品
  • 【J】メイン扉と一体となったレリーフ彫刻は五十嵐威暢の作品

開館以来、新しい試みに意欲的に取り組んできたトリフォニーホール。地域の音楽コミュニティ活動に力を入れ、誰でも参加できる企画、ユニークでアイデアあふれるコンサートを数多く開催。わが街のオーケストラ、下町の街角から三位一体のハーモニーが聴こえてくる。

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所在地:墨田区錦糸1-2-3 JR錦糸町駅からのアクセス周辺駐車場公式サイト

※このページはライブウォーカーによる企画・取材・編集コンテンツです。当サイトは、すみだトリフォニーホールおよび墨田区、公演主催者、スポンサー等とは関係ありません。また、敷地内の写真は許可を得て撮影しております。画像・文章の無断転載等は禁止いたします。

MUSIC-MDATA編集部(取材日 2019年6月)

魅力探索ガイド一覧(バックナンバー)

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1.オルガン・コンサート鑑賞
パイプオルガンのコンサートを鑑賞(約30分)。有名なJ.S.バッハのトッカータとフーガニ短調をはじめバラエティに富んだ全4曲のプログラム。
2.ステージを見学
ステージには無数のエンドピンの跡、金管楽器の水抜きでついたシミも。20年以上オーケストラが”住んで”いるホールならでは。
3.パイプオルガンの説明
風を送るふいご、パイプ、鍵盤の3つの部分からなる。表に見えているのはごく一部で舞台裏に何千本ものパイプが林立。パイプ1本でひとつの音がでる。
4.下手袖を彩るアート作品
下手袖には美術家・横尾忠則の作品。アーティストが本番前に必ず通る特別な場所で、赤い滝の絵は集中力を高め、精神を浄化するイメージ。
5.楽屋エリアの見学
大ホール舞台面と同じ2Fには指揮者とソリスト、コンサートマスター、ステージスタッフ用の楽屋7室。201は革張りソファーでグランドピアノ常設。
6.アーティストのサイン
ステージ裏にはトリフォニーホールに出演したアーティストたちのサインコーナー。オーケストラのメンバーが休憩中に食事や打合せをする場所でもある。
7.パイプオルガン「ふいご」実演
送風機で風を起こしてオルガン内部のパイプに空気を送る装置。演奏すると石の重りが載せられた木製「ふいご」の蛇腹が上下運動する仕組みが見られる。
8.パイプオルガンを体験
オルガンバルコニーで実際にパイプオルガンのコンソールに触れてみよう。手鍵盤3段と足鍵盤があり、66種類あるストップノブで音色を切り替える。
サウンドペディア
両国国技館
両国国技館
二代目国技館として1984年11月竣工。大相撲の本場所をはじめ、格闘技やコンサートに利用される。1985年より毎年2月、墨田区「音楽都市づくり」のきっかけとなった『国技館5000人の第九コンサート』を開催。
JR錦糸町北口モニュメント
トリフォニーホール開館年の1997年にJR錦糸町駅北口広場に設置。東西の換気塔と音楽的モチーフ(ヘ音記号や五線譜)を用いた音楽都市すみだを象徴するアート作品。ローレン・マドソン『echo』。
錦糸町駅(墨田区)
両国と亀戸に隣接する墨田区のまち。JR総武線と東京メトロ半蔵門線が乗り入れ、亀戸とともに東京副都心に数えられる城東エリア随一の繁華街。古くからの歓楽街の南口と再開発で生まれ変わった北口で雰囲気の異なる顔を魅せる。