ライブウォーカー バンドマンに捧げる不定期コラム

KAJUE日誌 -とある音楽雑誌の廃刊記- 創刊号

ようこそKAJUEへ 〜ヒモから音楽雑誌業界へ〜

 

まえがき

 

2000年代初頭、音楽業界は一時の隆盛を経て凋落の兆しが見え始めたころ。配信が始まるまでは、CD、DVD、ライブハウスという現物・現場商売が主だった時代。それゆえ、広告媒体はTV、雑誌がメイン。

 

そのころのワタクシは、30歳手前でありながら、美人の彼女(のパパ)のお金で、西麻布の客船型高級マンションに住み日々ドラクエ三昧、というファンシーなヒモ生活を満喫しておりました。

 

が…、飼い主(彼女)様の態度が急変。「働かないのなら別れたい」、突如、言葉の暴力(正論)を浴びせてきたのです。

 

少し前に、年齢を気にして「そろそろちゃんとしようかな。N子を幸せにしたいし」などと、ヒモらしからぬ弱気な発言をしたせいでしょうか。この曖昧な態度が彼女の価値観を(正常に)変えてしまったのかもしれません。

捨てられたくない一心で、駆け込みますはハローワーク

 

求める条件は「音楽業界、フレキシブルな労働時間、月給30万円」。必死に探しているわりには、ヒモ特有の人生なめまくり要素が含まれております。そんな都合の良いところがあるはずが…。

 

あった!

 

 

検索結果:1件

 

企業名:株式会社Gメディア

雇用形態:正社員

業務内容:音楽フリーペーパー KAJUE誌 、CLUB KAJUE誌、TV番組SシャワーKAJUE TVの営業

待遇:月給30万円(一部出来高)

 

 

一部出来高、が気になりますが、音楽フリーペーパー KAJUE誌は、人気アーティストも載っている音楽雑誌らしく、なかなかの好条件。さっそく面接へ。

しかし、これまで、アルバイト経験しかなかった30歳手前のヒモが相手にされるのだろうか? 面接では「宅配牛乳の勧誘成績は小平支部1位でした(21歳当時)」と自信満々にアピール。宅配牛乳の勧誘と雑誌広告営業を同列に扱う世間知らずぶりで恥を晒す。

 

結果…、採用

 

え? いや、駄目だろ。パソコンもスーツももってない30歳手前のオッサンを雇ったら駄目だろ! なんて会社だ、ラッキー!

 

なぜ、こんなおじさん(ワタクシ)を雇ってしまったのか? 考察してみました。

 


❶ 面接した課長がカナダ人で、日本の仕事(牛乳屋とか)を良くわかってなかった。

 


❷ 同席していた事務員のおばさんが、いい歳して、有名バンドのストーカー的おっかけをするやばい人だったから。 (後にワタクシを執拗にいびるウ○コババア)

 


❸ 同席していたライターが、締め切り前で面接とかどうでもよかったから。

 


❹ 後になってやってきたイギリス人の社長が、娘が生まれたばっかりで面接とかどうでもよかったから。

 

うん、来た順に入社させてるね(確信)

ひょっとすると、とんでもなくいい加減なところに入社してしまった! と、お思いでしょう。が、音楽業界おおよそ、このような会社と人間だらけ。

 

会社とは名ばかりで、社員ひとりひとりが個人事業主。個の集合体にすぎないところがほとんど(ピンからキリまでありますが…)。「音楽メディア」となれば、新たなアーティストや個性のピックアップより、広告販売、明日の生活、己の給与に還元できることが優先です。

 

少し夢のない話になってきました。次に、ワタクシが入社当初のお話を少々しようと思います。

 

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企画&ライター 浅井陽 - イラスト担当:こむじむ

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