ライブウォーカー バンドマンに捧げる不定期コラム

KAJUE日誌 -とある音楽雑誌の廃刊記- 第4号

混沌とした日々 〜ホモと蟷螂(とうろう)(けん)と私〜

 

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今回は、KAJUE誌を発行する株式会社Gメディア社を、ワタクシがどのようにして生き延びてきたのか? その一部をお話しましょう。

 

営業テリトリーを先輩方に独占され、新規営業は絶望的状況。が、そのころ、ちょうど会社を辞める先輩が担当していたレーベル窓口を、少しだけ引き継ぎまして、その恩恵と、知り合いの多いリハーサルスタジオへの営業により、なんとか首をつなぐことに成功。

 

だが、いよいよ音楽業界は大不景気に突入。レーベルは広告予算がなくなり、KAJUE誌への広告出稿は激減。会社の存続に暗雲がたちこめる。

 


このままだとホームレス…。いや待て、俺は少しばかりドラムをたたける。知り合ったレーベルにドラムの仕事をくれるよう直訴しよう!

 

この思惑が早速動き出す。

 

後日、新人テクノミュージシャンを売り込みに来たY氏が、Kとロビーでその音源を確認しております。

 


これ誰? かっこいいね

 


新人のThe STEALTH。Yoくん、ドラムやってたなら、生ドラムで合わせたらどう?


いいですね!やりましょう!

 

 

なんと、Kのアイデアにより、あっさりとドラム仕事が舞い込む。アルバムをリリースすると、口コミで噂が広がり全国のHMVやタワレコにて、ダンスチャート1位を獲得。その後も、じわじわと売れつづける。

 

これを期に、ライターとドラマーの二足のわらじを履くこととなる。

その後、Y氏の紹介で、美男美女の海外ミュージシャンのサポートを依頼されます。女性はドイツ人のローズ。男性は、親の仕事で、幼少期はフランス、日本、イギリスを渡り歩き、ネイティブな日本語を話すドイツ在住のフェミニンなイギリス人とチリ人のハーフ、アレックス。

 

素性のややこしいアレックスが、親睦を深めんと飲みに誘ってきました。「馴染みの店に行こう」と案内されますは、歌舞伎町二丁目。

 

どういった意味で「馴染みの店」? 不安を胸に扉を開けると…、スキンヘッドのガチムチホモがボコボコに殴りあい中! 入店1秒でホモと暴力! 歌舞伎町の具現化がそこに!

 


マスター!とめて!

 


え? あれは彼らの性癖よ♡? しかし、この酒と不思議な葉っぱは美味いな! ウハハハハ

 

マスター、ラリってます! すかさず我々の存在に気付くガチムチホモ2人。

 


何見てんだ! お前らもやっちゃうぞ♡

 


(いや、なにをやるの? お尻!?…)アレックス、ここはやばい!

 


大丈夫! 俺、蟷螂拳(カマキリ拳法)やってたから!

 

 

え、蟷螂拳て、ジャッキー・チェンとかの!? いや無理だろ! それ、カメハメ波の練習と変わらないから! 世界中を旅して、いつどこで習ったの!? 通信教育!?

 

通信教育蟷螂拳 vs ガチムチホモ(2人)の睨み合い、そしてバトルが始まる! 間に挟まれたヘルニア持ちのワタクシといえば、得意の柔術で、よける! かわす! 逃げる! 得意技は受け身と光速タップでした…。

 

リアル香港映画を堪能し、心労激しくKAJUE事務所へ戻る。すると、事務所では、フランツ・フェルディナンド(アレックスの友人)が柿ピーをつまみに飲み会を始めていた。

この頃になると、ロックスターに会うことなどどうでもよかった。混沌とした日々は続き、確実に終焉の足音だけが聞こえてくるのであった。

 

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企画&ライター 浅井陽 - イラスト担当:こむじむ

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