LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.38

渋谷HOME

渋谷HOME について
2008年「渋谷LUSH」隣にオープン。アコースティック系ライブを主体に、ライブハウスに馴染みがなかった人にも訪れやすい雰囲気づくりとユニークな企画で賑わいをみせている「HOME」。2015年よりLUSH/HOME両店長を務める宮内氏は、ライブハウスのネガティブなイメージを払拭し、より身近な存在に感じてもらいたいと語る。土を耕し、種を蒔き、育てる。緑が青々と生い茂る庭の小さなワンルームハウス、ドアはあるが垣根はない。
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ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 渋谷HOME 編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

渋谷Home/LUSH店長 宮内健司氏

本日は渋谷HOME店長の宮内さんにお話をお伺いします。以前、となりにある系列店LUSHを取材させて頂きました。今回は、HOMEのお話を聞かせて頂きたいので、まずはお店設立の経緯を教えてください。

この場所は、以前TUFF SESSIONの内田コーヘイさんがやっているDJ BAR(渋谷ROOTS)があったんですよ。そのお店が9年前(2007年末)に別の場所に移動することになったので、その跡地に、うちが入ったんです。それがここHOMEになります。当時LUSHの店長はコバカツさん(現、渋谷guestオーナー)でした。

前回LUSHは田中店長の時に取材させてもらいました。宮内さんが店長になったのはいつからですか?

僕は、昨年(2015年)5月から、LUSHとHOME両方の店長をやっています。

LUSHとHOME、それぞれ差別化しているところや特徴を教えてください。

オープン当初はただライブハウスが2店舗並んでいるという状況で、おなじく系列店で下北沢にあるBASEMENT BARTHREEの関係に近かったですね。でも、HOMEの方ではオープン2年目くらいの時から上階のテナントとの兼ね合いで、月曜から土曜までドラムとベースが、昼間の時間だけNGになったんです。なので、月曜から土曜までは弾き語りやアコースティック寄りのアーティストやバンドをブッキングするようになりました。

テナントの都合もあってHOMEはアコースティック寄りになっているのですね。

そうですね。でも普通のバンドライブをやるつもりだったので、音響システムはしっかりしているんですよ。

その音響設備のせいか、ハードコアバンドの音が合う気がします。たまにやってますよね?

そうなんですよ。ドラム、ベースの音が出せる日曜日は自由なイベントをやっているんですが、そういう時はHOMEでもDEEPSLAUTER(ハードコア系バンド)がやってたりもしてます。それがまた、すごく合ってるんです!

生々しく音が直球で来る感じでした。LUSHの方がオールマイティに綺麗に整っている印象です。

LUSHの方が、いわゆる「ライブハウス」という感じに近いかもしれないですね。

最近は合コンのイベントがあるという噂を聞きましたが(笑)?

はい、やっています。ライブハウスとしては新鮮ですよね? 2,000円飲み放題で、やってみたら意外にも女子の参加率が高かったという…(笑)。

2,000円飲み放題で女子参加率が高い! これは、最強の穴場です。

まあ、普段ライブハウスに来ない人にも来店してもらいたいんですよ。他にも、バーテンダーを1人招いて、その日のバー営業をやってもらう「1日店長」なんかもやっています。全く違った業種の人が来るので面白いですよ。

一般的な感覚では、ライブハウスは、暗いし、タバコ臭い

「1日警察署長」みたいですね(笑)。なにかメリットがあるのですか?

ありますよ。僕らは10代からライブハウスに通ってるから、こういう場所にマイナスイメージは持っていませんが、一般的な感覚からすると、暗いし、タバコ臭い…、ライブハウスって来づらいじゃないですか?

はい、外から店内は見えないし、中は爆音でうるさいです(笑)。

ライブハウスに行ったことがないような人に、一日店長目当てに足を運んでもらって、ライブハウスに興味を持ってくれるきっかけになっていると思います。

渋谷もライブハウス激戦エリアですがLUSHやHOMEがいつもお客さんで賑わっているのは、そういうアイデアが活きているからこそなんですね。

そう思います。それに、渋谷でも道玄坂方面は若い世代向けのお店が多く、宮益坂方面は青山寄りで、言葉が悪いですけど、お子様が少ないので、お店としてのアプローチは絞りやすいんです。もちろん若い層に対してのアプローチも心がけなくてはいけませんが。

宮益坂側もどんどん開発が進んでいます。この辺りも数年で劇的に変化しましたよね。すごく綺麗になっています。

ヒカリエもできて、これから開発がどのような感じで進むかにもよりますが、30代向けの、ある程度のお金を出して飲み食いするような、向こうの道玄坂側にくらべて高めの値段設定になってくるのではないでしょうか。

ちなみにLUSHの隣にスタジオ・レンタルスペースが出来ていましたが、ここも系列になるのですか?

宮益坂十間スタジオ(ホームページ)ですね。そこはうちの系列ではないんです。でも、同じビルのオーナーさんの知り合いのスタジオさんですので、是非とも紹介してください。

大学生時代「バンドで一発当ててやろう!」と考えてた

では続いて、ご自身のバンドも活動中の、宮内さんの音楽遍歴を教えてください。

高校時代にドラムをはじめました。思いっきりAIR JAM世代なので、メロコアなどを必死にバンドでコピーしていました。

コピーしていたバンドはどのあたりですか?

Green DayHi-STANDARDです。大学時代に、部活で陸上をやりつつバンドのサークルで初めてオリジナル曲のバンドを始めました。

大学時代から本格的に活動を開始したのですね。

はい。大学時代のバンドやサークル周辺に、downyの仲俣和宏さんや54-71の高田拓也さんがいたんですよ。彼らはガードアイランドという音楽スタジオで働いていて、その流れで、僕も、大学生の若造のノリで「バンドで一発当ててやろう!」と考えるようになりました。結果、自分もガードアイランドスタジオに入りました。そこで、今もやっているcumulonimbusというバンドで活動を始めました。

ガードアイランド、そうそうたる面子が揃ったスタジオだったのですね。

ガードアイランドスタジオに入ってから7年程経った頃、LUSH前店長の田中勝さんにLUSHのブッキングで呼ばれるようになりました。その流れで、勝さんのレーベルからcumulonimbusのファーストア

ルバムをリリースしました。

前店長の田中さんを通じてLUSHと出会ったのですね。

はい、そうです。そのまま「うちでブッキングやれば?」と声を掛けられて今に至ります。その時は、ガードアイランド系列の二子玉川pink noise(2011年3月閉店)というライブハウスでブッキングをやっていたんですけどね。

pink noiseからLUSHに移った理由というのは?

大学の先輩でもある勝さんがいたというのが大きいですね。それと、ピンクノイズだと都心から離れてしまうので、渋谷の方が音楽活動もしやすいと思ったからです。

宮内さんのバンドCumulonimbusはどういうジャンルですか?

54-71をイベントに呼んだことがあって、その時、リーダーから「フュージョンでしょ!」って言われてました。変拍子やら難しいフレーズも一切ない、4/4拍子の4つ打ちなのに(笑)。

メロコアからフュージョン…、めずらしいパターンですね(笑)。

いや、フュージョンでは…(苦笑)。

影響を受けたドラマーは?

ドラムを始めて、結構経ってからですけど、downyの秋山さんが僕のドラム師匠なので、JAZZ寄りの人なんですけど、ヴィニー・カリウタですね。あと最近だとクリス・デイブをかなり参考にしています。

フランク・ザッパの変態ドラマーですね(笑)。

基本、ロックな変態系は好きかも知れません(笑)。

ライブハウスの良くないイメージを払拭、「一般社会に近い存在」を目指す

それでは最後になりますが、HOMEからのメッセージをお願いします。

僕らとしては、ライブハウスの良くないイメージを払拭して、より「一般社会に近い存在」を目指しています。HOMEはカウンターも広く、料理もちょこちょこ出せます。29日には「肉イベント」というのもやってるんですよ。そういう音楽以外のイベントからもライブハウスを知ってもらうきっかけを作っていきます。

肉イベントの発想は面白いです。女性にもウケそうですね。

今は、みんな音楽離れしてしまっていて、CDもリリースしていないようなバンドを観に行く…、という時代ではないじゃないですか? それなら音楽以外のコンテンツでお客さんを呼んで、その流れの中でライブを観てもらう、ライブハウスの雰囲気を知ってもらうというのもアリですよね。元々、ライブハウスは広い意味で娯楽の場所ですから。

出演者も一般の多くの人に演奏を聞いてもらいたいですからね。

それと、バンド、ミュージシャンに対して言いたいことがあります。ライブを見るには2,000円とか2,500円のチケット代がかかるじゃないですか? それって映画を観に行く値段よりも高いわけです。その辺は常に意識してステージに立つべきだと思うんです。

確かに映画のチケットよりライブハウスの方が高いですね。

お客さんだろうが、友達だろうが、入場料をもらってる以上、値段分の満足感を与えないといけない。チケット代相応の楽しさを提供できなければ、絶対に次回は来てくれないので。そのくらいの意識を持っていて欲しいですね。勿論、バンドで売れたいと思っている、上を目指している人たちに対しての話ですけどね。

1,800円で『007』も観れる世の中、ライブで映画以上の感動と衝撃を与える意気込みが大切ですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

「渋谷HOME」に出演しよう!弾き語り、アコースティックアーティストを中心にブッキング、イベント受付中。詳しくは公式サイトへ。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2016年5月)

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