ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.37
下北沢ろくでもない夜
- 下北沢ろくでもない夜について
- 文化発信地・下北沢でロックの聖地とよばれた「下北沢屋根裏」跡地に2015年5月オープンしたライブハウス。「ろくでもない夜」共同創業者の一人である原口雄介氏は、17歳でライブハウス業界に飛び込んで以来、裏方としてライブカルチャーシーンを見つめ、支えてきたライブハウスマンだ。このロクでもない世の中で、ともに笑い、全力でバカをやれる仲間がいる。そんな風に感じられる生な瞬間が、明日へと踏み出す力になるかもしれない。屋根裏育ちのアツい魂と意志をもって、傷だらけになりながら、どこまでも、どこまでも泥臭く転がりつづける。
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世田谷区北沢2-6-5 ルイビル3F
TEL:03-6804-9567
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ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 下北沢ろくでもない夜 編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
下北沢ろくでもない夜 原口雄介 氏
本日は「下北沢ろくでもない夜」の原口さんにお話をお伺いします。聖地と呼ばれたライブハウス『屋根裏』の跡地でのオープンとなりましたが、まずは設立の経緯を教えてください。
29年間も続いた屋根裏が昨年3月に閉店になった際、このビル(ルイビル)のオーナーから直接話があったのがきっかけです。10年以上前になりますが、僕はもともと屋根裏で働いていたんですよ。
原口さんが屋根裏に縁のある方だったのですね。
はい。その頃、他のライブハウスで一緒に働いていた仲間と「いつか一緒に店をやろう」と話をしていたんですが、ちょうどタイミングよく、屋根裏跡が空くという話があったので「この際やってみよう!」という流れになり、去年(2015年)の5月にオープンすることができました。
ということは「下北沢ろくでもない夜」は、屋根裏の系列店ではないんですよね?
今は違いますね。完全に僕らのライブハウスです。
屋根裏を継承している部分はあるのでしょうか?
屋根裏に出演していたバンドも出てくれるので、そのへんの泥臭さみたいな物は残っていますね。元々、僕もそこらへんの音楽が畑なので。
ライブハウス自体にもお客さんを付けたい
新たにライブハウスを始めるに当たってのビジョンや方針はどのようなものだったのでしょうか?
多くのライブハウスでは出演バンドが、ほとんどのお客さんをライブハウスによんでいる状況じゃないですか? でも、僕は、そのシステムが好きではなくて、バンドだけでなく、ライブハウス自体にもお客さんを付けたい、というのがこのライブハウスを始めようとした目的の一つです。
バンド目当てだけでなく、このお店自体に遊びに来てもらいたいということですね。
そうですね。この店に飲みに行く、という感覚で来店してもらいたいです。バーカウンターの扉の奥、ライブスペースの方に入るにはチケットが必要ですが、こちら側(バーカウンター)はフリーで入れるんですよ。で、そこにモニターテレビを置いてステージのライブ映像を流しています。バンドがかっこいいなあって思ったら、チケット代を払って、バーからライブにも参戦できるようにしました。
屋根裏時代はバーとライブホールは区分けされていませんでしたよね。これらは、原口さんのアイデアでしょうか?
一緒に経営している立ち上げスタッフの仲間と、「このまま普通のライブハウスを立ち上げても面白くないよね?」という話がキッカケです。お店にもお客さんが付いていれば、これからがんばって行きたいバンドさんにもメリットがあるはずです。それと、ライブハウスによくある「入りづらい」とか「怖い!」というイメージは全部壊していきたいなと思いました。
それは、お客さん思いの発想です。
お店としてこれくらいの対応はしていかないと、現状、なかなかライブハウスに足を運んでくれるお客さんは増えていきません。
下北沢はライブハウス激戦区で、これからもまだまだ競争が続きそうです。「生き残るための策」など考えていることがありましたらお聞かせ頂けますか?
常に面白い事をやっていく、アイデアを捻り出すしかないと思います。普通にブッキングして、5バンド集めて、ノルマ取って…。そういうライブハウスには、もはやミュージシャンも面白味を感じていないと思います。うちは、そういう従来の、いかにもライブハウスという店にしていくつもりはありません。
変化の無いライブハウスは、今後ますます厳しくなって来そうですね。
だんだんと出演するバンドが少なくなってくるんじゃないですかね? 現状すでに、チケットノルマをなくしたり少なくしたりするライブハウスが増えていて、必然的に、バンドマンが安い所に流れる、実質ライブハウスの値下げ競争になっているところもあります。バンドマンに(ライブハウスを)選んでもらうには、ライブハウス自体が、お客さんにとって面白い事をやっているかどうかって事が重要になってきますよね。
トークライブやお芝居、アイドル、展示会から料理のイベントまで
業界全体で盛り上げていきたい部分でもありますね…。音楽的なジャンルとして打ち出している特徴はどのような方向性になるのでしょうか?
他店さんライブハウス各々に音楽的なカラーがあると思いますが、うちはオールジャンルでやっています。オールジャンルといっても、バンド、音楽の演奏に限りません。芸人さんのトークライブやお芝居、アイドル、展示会から料理のイベントまでやっています。
料理まで! たしかにキッチン周りは充実していますからね。お客さんは、どのような層が中心ですか?
イベントや出演する人たちによって色々です。年配のアーティストだとその年代の方たちが来るし、芸人さんだと若い女の子が来るし、お客さんもガラッと変わりますね。まさにオールジャンルです。
チケットノルマについてはどのようなシステムになっているのですか?
出演者のチケットノルマはありません。さすがに、お客さんが1、2人とか、そういう時はあらかじめ聞いて、お断りしたというケースもありましたが、そこはやはり、お互いがwin-winにならないとやる意味がないですからね。お互いにすごくがんばった結果が5人だったら、まあそれはそれでしょうがないって事もありますけど。
では続いて、ライブハウスの経験も長い、原口さんの音楽との出会いを教えてください。
僕は、17歳の時に渋谷サイクロンで働き始めたのがキッカケです。それまでは、一切音楽には関わっていませんでした。
突発的に音楽の世界へ? しかもいきなりライブハウスですか。
そうですね。17歳の時に、「自分も音楽やりたいなあ」と思いまして(笑)。中学校を卒業して、1年くらいお金を貯める仕事をして、その後、ライブハウスに電話をかけまくって、雇ってくれたのが渋谷サイクロンでした。
若くしてすごい行動力ですね。サイクロンでの仕事はどういうことをしたのでしょう?
最初は外付きです。お客さんに「入り口付近に溜らないないでくださ〜い!」って指示する仕事からはじまりました(笑)。一日中、外にいる仕事でしたね。
やはり、誰もが最初はそこを通るのですね?
そうですね。それからドリンクカウンターですね。
外付は、冬は相当に辛いと聞いています(笑)。
冬はしんどかったですね〜(笑)。目の前がパルコパート3なので、一人でポツンと座っていると、「アイツ何?」みたいな目で見られてたり(笑)。でも、若かったんで、そこらへんの飲食店の人とかと仲良くなって、外にいても話す相手はいたんですよ。僕なりにテリトリーを作ってました(笑)。
さすがです(笑)。その後、年数とともに業務内容も変わっていくのですね?
その後はブッキングをやり始めて、21歳の頃に店舗異動で系列店だった下北沢屋根裏に来ました。
そこで旧屋根裏に出会ったのですね。屋根裏にはどのくらいいたのですか?
3、4年くらいでしたね。ブッキングマネージャーをやっていました。その後、2005年に渋谷クラブクロールの立上げから参加しました。クロールでは今うちにもいる内田(共同創業者 内田勝久氏)とも一緒でした。その後、2015年に彼と一緒に「ろくでもない夜」を立ち上げることになり、現在に至る、です。
キングコングの西野さんのイベント名を店名に頂いた
有名な話ではありますが、「ろくでもない夜」の名前の由来について教えて下さい。
キングコングの西野さんがやっていた「ろくでもない夜」というイベントの名前から頂きました。西野さんとは個人的にも仲良くさせてもらっていたので、ご本人に「立ち上げるライブハウスに、このイベント名もらっていい?」と打診したら、西野さんも「いいじゃん!」と快諾してくれました。しかもロゴまで書いてもらったんです。
そんな「ろくでもない夜」、オープンして一年となります。現状はお客さんの入りなどはどうですか?
良い方だと思います! 他店さんの集客がどれくらいか正確にはわかりませんが、それでも、良い方だと思う(笑)。
17歳からライブハウス一筋の原口さんが思うのですから、間違いないと思いますよ。それでは最後になりますが、メッセージなどありましたらお願いします
バンド以外でも、どんなことでも表現したい人がいれば、ぜひ来てみてください。表現したい人たちが集まってくれる場所であるといいなと思っています。下北沢はライブハウスだけじゃなく、お芝居もあって、ギャラリーもありますからね。
下北沢らしさも存分に楽しめる「ろくでもない夜」に期待しています。本日は貴重なお話をありがとうございました。
「下北沢ろくでもない夜」に出演しよう!ブッキング、ホールレンタル受付中。バンドはもちろん、イベントや飲み会、誕生会などの利用もOK。詳しくは公式サイトへ。
「下北沢ろくでもない夜」スタッフ田辺さん(左)と原口氏(右)
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