LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.58

下北沢 MOSAiC

下北沢MOSAiCについて
下北沢に2004年オープン。茶沢通りに面したガラス張りのおしゃれなカフェバーとB1Fにライブホールをもつスタジオミュージアム系列のライブハウス。純白のステージを彩るのは有色無色の音の小片たち。カフェで出演者考案オリジナルドリンクを味わえば、バンドとの距離もぐっと近くに感じられる。毎年夏、1ドリンク代のみでバンド見放題のフリーフェス『白フェス』を主催。アーティストと音楽ファンの出会いをむすぶ『MOSAiC presents』に今後も目が離せない。
下北沢MOSAiCへのお問い合わせ
下北沢MOSAiC公式サイト
世田谷区北沢2-2-14モアイ茶沢1F.B1
TEL:03-5787-4559 (受付時間 16:00~21:00)
MAIL:mosaic_info@mu-seum.co.jp

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 下北沢MOSAiC編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

下北沢MOSAiC店長 森本真一郎氏

本日は下北沢MOSAiC店長の森本真一郎さんにお話をお伺いします。お店のオープンは何時になりますか?

当店は音楽スタジオのMUSEUM系列のライブハウスとして2004年にオープンしました。

音楽スタジオ経営からライブハウスをはじめる事になったきっかけのようなものはあったのですか?

下北沢ガレージの現オーナーさんとうちのオーナーが一緒に下北沢ガレージを立ち上げたでのすが、途中で経営がわかれてしまって、下北沢ガレージは現オーナーさんが、うちのオーナーは一旦スタジオ業(MUSEUM)に専念することになったと聞いています。確か、公にはしてないかもですね。大丈夫かな(笑)。

なるほど、ということはオーナーさんが新しいライブハウスを立ち上げるのは必然だったといえるのですね。現在は、下北沢ガレージとはまったく別の運営?

はい、下北沢のライブハウスの集いなどで、ガレージの店長さんと顔を合わせることがあるくらいで、経営が別れてからは会社としての接点はなく、それぞれ全く別ですね。

森本さんがMOSAiCに入ったのはいつ頃ですか?

僕は、2005年にMUSEUMの新宿店にアルバイトとして入って、2011年にMOSAiC に移動してきました。

MOSAiCに出演しているバンド、ジャンルの傾向について教えてください。

オープン当初はラウド系とかヘビーロック系と言われるバンドが多かったみたいですが、僕が3代目の店長となった今は、歌ものギターロックをメインに、ヴィジュアル系からアイドルまで「おもちゃ箱みたいなライブハウス」になっています (笑)。

店長になってからは毎日のスケジュールを埋めるのに必死だった

森本さんが店長になってから出演バンドの傾向を変えていったのですか?

というか、店長になってからは毎日のスケジュールを埋めるのに必死で、とにかくバンドさんたちに1回出演してもらって、そこから広げていくよう努力しました。そうしているうちに、ギターロック系のバンドが増えて、その後輩バンドが多く出演してくれるようになって幅が広がっていったという感じです。

やはり日々のスケジュールを埋めるというのは難しいのですね。これまでの取材でも多くの意見がありました。

僕が店長になった時点では、ホールレンタルの問い合わせがちょいちょいあった程度で、ブッキングは結構な率で空いていて…。本当に大変でした。

森本さんはどのようにブッキングを増やしてきたのか、そのコツを教えていただけますか?

自分は「損して得を取る」感じでずっとやってきています。最初は赤字でもいいから、とにかくバンドとつながること。そして、各バンドの節目の時期にバンド主催イベントでうち使ってもらうようにしました。この流れを定着させて少し楽になりましたね。

気に入ってもらえたら定期的に使ってもらえるかもしれないですしね。

やっぱり水商売に近い所があると思いますが、うちは内装もきれいなので、1回出てもらったら反応はいい方だと思いますよ。ガラス張りで外からも見えるので、女性のお客様も入りやすいみたいです。

それは強みですね。外から見るとオープンカフェのようですし。

うちは、なるべくライトにやっていこうって(笑)。墨の入ったお兄ちゃんが受付をするハードコアなライブハウスにするのは避けました(笑)。

正直、バンドだけじゃ限界が来ているので、柔軟に何でもやっていく

都内にも新しいライブハウスがまだまだ増えていますが、今後の方向性やビジョンについて教えてください。

正直、バンドものだけじゃ限界が来ている時期で、「ライブハウスはこういう場所」みたいな決めつけをせず柔軟に何でもやっていく必要性は感じています。それこそ、演劇や映画上映、お笑いなどがあってもいいかな、と。

バンド以外のブッキングやイベントも行っているのですか?

今の段階ではまだバンドだけですが、ブッキングの日に転換(出演バンドの入れ替わり)でお笑いを入れるなど、そういうやり方から始めてみようと思っています。まだ漠然としていますが、いろいろとやってみたいですね。もちろん、メインはバンドであり続けたいですけど。

では続いて、森本さんと音楽の出会いについてお聞かせください。

長渕剛です! もう、小学校の頃から長渕剛!

断言しましたね(笑)。小学生で長渕剛とは渋すぎです。

ですよね(笑)。なので、中学に入っても、アコギを持って自分の言葉で歌う、ということに魅力を感じていましたねえ。

周りに共感できる友だちはいたのでしょうか(笑)?

まあ、少しはいたかな(笑)。でも、長渕剛も好きだけど、地元ではBOØWYとかも流行っていたので、バンドも組んで、エレキギターも弾き語りも、しゃかりきに練習していました。

ライブ活動などもされたのですか?

初ライブは中3ぐらいの時でした。ドラムセットやアンプが置いてある多目的ホールみたいな場所を借りて、オリジナルの曲をやりました。

その後も音楽活動は継続して?

僕は高校を出てないのですが、21歳ぐらいまで大阪でガツガツとバンド活動やっていました。それがポシャってしまして、「ギター1本でやる方がええわー!」と思い、日本全国放浪の旅に出て、それで東京に来たんですよ。

日本全国放浪の旅、長野のレタス畑で一日中レタスの積み込み

放浪といっても簡単じゃないですよね。金銭的な部分で苦労しませんでしたか?

沖縄やら長野で住み込みのバイトを見つけては、その場その場で働いていましたよ。沖縄の布団上げや中華屋のバイト、それに長野のレタス畑で一日中レタスの積み荷、あぁ懐かしいですね…(笑)。

旅行者をターゲットにした求人があるのはたまに聞きますね。

バックパッカー向けの求人というのが結構ありまして、住み込みなのでお金も貯められますしね。

放浪の最終地が東京だったのですね。

いえ、それが、当時つきあっていた彼女といろいろありまして、いったん大阪に戻ったんです。彼女の父が板金屋で、結婚を考えていたので、ギターもやめて後継ぎを目指して溶接の仕事をずっとやっていたんです。

まさに青春!しかし、現在ここ(MOSAiC)にいらっしゃるということは、多少事情が変わったと?

いやあ、結納まで済ませたのですが、その後がうまくいかなくて…。それで、何も考えずに東京に戻ってきたわけです。なんだかいい加減な感じですね(苦笑)。

人生いろいろですよね…。気を取り直して(笑)で、それを機に東京に再来しスタジオミュージアムで働くようになったのですね?

そうですね。おかげさまで別の方と出会って結婚しまして、その間も、ミュージアムでバイトしながらバンドをやったり、ソロ活動をしたりしていました。その後ライブハウスMOSAiCに異動となり、晴れて正社員になりました。

放浪レタス畑からよくぞここまでたどりつきましたね。うれしい体験談です。それでは最後にMOSAiCからメッセージをお願いします。

MOSAiCは初めての人でも遊びに来やすい、入りやすい雰囲気のライブハウスです。夏には「白フェス」というドリンク代1杯分だけでバンド見放題というフリーフェスもやっています。赤字覚悟ですが、集客をバンドだけ頑張るのではなく、ハコ側もともに頑張っていこうというのがテーマのイベントです。ライブハウスにはいくつもの感動やドラマがあります。まずは見に来てください!

間口の広いライブハウスぶりを伺えました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2017年2月)

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